過去ログ - 男「また、あした」
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37:>>1[saga]
2011/03/30(水) 23:02:29.39 ID:dLQ/FbAK0
さらに二週間ほどたった。
絵本部の活動も充実しており、期末テストも終わった。
めでたく夏休みに突入するかしないかぐらいの、さらにいえば学校が半日になったりして楽な時期だ。
イラストの方もすでに何点か終わっており、冬森さんの書く物語が完結して、それを僕が描けばめでたく絵本は完成となる。
もっとも、そのあと印刷したりという作業は残ってこそいるが、そこは今考慮するべき点ではないだろう。
夏休み明けすぐにある文化祭が今から待ち遠しい。もっとも、全てが上手くいけばの話なのだが。

「毎日暑いわね。それで、進行具合はどうなの?」

そこに、春野さんが唐突に部室に入ってきた。制服を少しばかりだらしない格好に崩し、団扇で扇いでいる。
教師が見たら彼女を失望してしまうだろうが、まぁ、女子はベストなんかもこの季節に着込む必要性があるものだから、気持ちはわかる。

「春野さん。まぁまぁ、ボチボチだよ」

僕がそう答えると、春野さんは満足げに笑みを僕に投げかけて、冬森さんにちかづいていった。
たちまちにヒソヒソ話が始まったが、まぁこれも女の子の生態というやつだ。僕はノータッチでいたほうがいいだろう。
余計な厄介事を背負う必要もない。僕は描きかけのイラストに向き直り、再び鉛筆をとった。
このイラストの完成も数日かかるだろう。冬森さんの描写するシーンを事細かにかきいれたら何やら大変なことになってしまったのだが、まぁ夏休みに入るまでには終わると思う。
これでまだ中盤なのだから恐ろしい。でも、実際の絵本にしてページ数を数えれば平均的なソレになるらしいのだから不思議だ。
絵本と言うのは思ったよりも作るのが大変なようだ。さらにいえば今描いているので本決まりというわけでもない。
いくつかストーリーが変更されるかもしれないし、描写も違ってくるかもしれない。
その都度僕は描き直すことになるのだから気が遠くなりそうだ。でも、一枚完成すればそれがボツっても後々に使いまわせるのだから大して気にしないし、着色の段階に入ってからボツになることもそうそうない。
今までも没イラストは何点か発生してきたがどれもラフ段階だったりするのがほとんどだ。気楽にすすめられる。

「暑いなぁ……。よう秋川」
「夏原。珍しいね。部に出るのは」

本日二人目の乱入者が入ってきた。彼もまた制服をだらしなく着ていて、少し見える腹筋やらなにやらがさらに暑苦しい。
本当に頭数に自らをいれてくれただけの夏原は部に出ることなんてついぞなかったが、今日はどういうわけだか出たくなったらしい。


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