39:>>1[saga]
2011/03/30(水) 23:07:00.79 ID:dLQ/FbAK0
こちらの夏休みも決まった。僕は絵を描きながらグータラするのだ。夏休みの正しい姿だよね。素晴らしい。
「えっと。じゃあ、今日はこれで終りにしませんか」
冬森さんのそんな鶴の一声で、本日はこれで解散することになった。
夏原と春野さんはこの後用事ができた、ということでさっさと帰っていったので、僕と冬森さんがまた二人になってしまった。
半日なので家まで送っていけ、とは言われなかったけれども。
「ジュピトリスにでも寄ろうか?」
「いいところを知っていますね。あそこは、やっぱり」
「チョコ・サンデーだね。正直、今、あれが猛烈に食べたくてしょうがないんだ」
「ですよね。美味しいんですよね、あそこのチョコ・サンデー」
こういったことになると、人が変わったように食いついてくる。気持ちはわからないでもないし、同志であるのだし気にすることはない。
問題は、なんで僕と二人なのだろうかという点なのだが、もう気にしないことにした。なんてったってチョコ・サンデーだ。魅惑のサンデーなのだ。
足取りは軽く、その戦艦じみたネーミングの店に向かうことにする。
そんなわけで、僕らは‘ジュピトリス’にやってきた。平日であるからか人はそうそういない。好都合だ。
僕らは適当な席(出来るだけ人目につかない、窓から離れた場所だ)について、丁度通りかかった店長にチョコ・サンデーを二つ注文した。
このお店はその ‘ジュピトリス’というネーミングから、その手の人が話のネタによく入ってくるのだとどこかで聞いた。
さりげないところにおいてあるその手のプラモデルがなかなか多いところから、店長も開き直っているようだ。というより、狙ってやったのだろう。
「秋川君は知っていますか?」
「いや、何が」
知らないとしか答えようがないと思うのだけれど。言葉がやや足りないのは冬森さんのクセか何かだろうか。
率直すぎると言うのか、思ったまま言うというか。
「ああ、ごめんなさい。このお店、ロボットのプラモデルが多いですよね? 秋川君なら何か知っているんじゃないか、と思って」
まぁ、女の子という生物である冬森さんに、一昔前のロボットアニメがわかっているほうが不思議だろう。ゲーム化されて、僕みたいないわゆる‘ゆとり’という世代でもわかるぐらいだからかなり有名どころなのだが、これが性別の隔たりというやつか。
「ジュピトリスの名前がね、ロボットアニメに出てくる戦艦の名前なんだよ」
「戦艦、ですか。木星みたいな名前ですね」
「それが元になってるみたいなんだけどね」
木星船団の船なんだよ、とまでは説明しないでおく。意味がないし。とりあえずは、木星にしろ、戦艦にしろ、こういうお店の名前には向かないだろうというところか。
それでもこれにした店長は狙ったとかじゃなく、ひょっとしたら本気で好きなのやも。
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