過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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932:[saga]
2012/04/04(水) 14:41:55.99 ID:+IlzdyW5o

私は言った。まどかは、泣き笑いのような顔をした。そして。

背骨に激痛が走る。
息をつまらせた私は、思わず悲鳴を上げていた。

ほむら「――っま、まどか! 痛い痛い痛い痛いっ!!」

魔まどか「ほむらちゃん! ほむらちゃあん!! ほむ、ああああ!!」

まどかの頭が横をすり抜けたかと思うと、背中に回った両腕が固く抱き締めてきた。
耳元にまどかの口があるのか、湿った吐息が鼓膜を震わせて、熱い。とても熱い。
言葉は途中からただの嗚咽に変わっていた。私の悲鳴に気付いてか、少し力を弱めてくれている。
私は度肝を抜かれて、その背中を恐る恐る撫でてあげることくらいしかできない。私は、母親になってしまったかのようだった。

ほむら「……ねぇ、まどか?」

ほむら「私なんかに……その、ホントに出来るかしら」

まどかはぷるぷると震えながら、鼻をすすった。
小さく震える姿は小動物を思わせた。まどかはやがてか細い声で、

魔まどか「……言ったでしょ? あなたは、足手まといなんかじゃないって」

魔まどか「これはあなたにしかできない……あなたは、前の世界のホントの私を知ってる、たったひとりのほむらちゃんなんだから」

耳元で声が届く。
抱きつくのではなく、しなだれかかるように。まどかの桃色の髪がさらさらと私の鼻腔を突き、甘い匂いで酔わせる。
ふわふわしたレースの海に溺れて、まどかの吐息に耳から脳まで溶かされてしまいそうだった。

ほむら「わたし、が……」

魔まどか「見届けるの、最期の瞬間を」

魔まどか「私がワルプルギスの夜を倒した後に消滅する運命だというのなら、その瞬間を」

顔を上げたまどかが、満開の笑みを浮かべていた。
さっきはこれを諦めの笑みだと思ってしまったけれど、これだって希望のうちだと、今は言いたくなった。

こんなに幸せそうに笑うまどかが、たとえ消滅の運命を抱えていたって、幸せじゃないわけがないもの。


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