過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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963: ◆D4iYS1MqzQ[sagesaga]
2012/04/10(火) 23:33:49.04 ID:43co6dr4o

使い魔が何を言う暇もなかった。
言葉の終わりと同時に、使い魔を戒めていたリボンが煌々と光り輝き、収縮する。
クロスした腕を一息に引いて、リボンが千切れる。余りのリボンが使い魔を繭のように覆う。
白く輝く卵が一瞬見え、すぐに光量オーバー、室内を真っ白に塗りつぶして。

使い魔「――ッ!!」

最後に、内側からくぐもった爆発音が鈍く響いた。断末魔というには少し静かすぎた。
それはトンネル内の反響のように長く間延びして響いて、それから徐々に静寂が戻ってくる。

思い出したようにリボンが解けていくと、卵の内側が晒された。そこには何も残っていなかった。
魔法少女の巴マミが、魔女の使い魔を退治したのだ。当たり前のことをしたまでなのだ。

マミ「……」

しかし沈黙が痛かった。集中が切れるとリボンが溶けるように消えた。薄い床板のわずかな焦げ目が目立った。
生じた空白が、彼女の健在時にも増してその存在を主張していて、マミは思わず一歩下がった。

改めて滅茶苦茶に荒らされた部屋を見渡して、深くため息を吐いた。
肩にかかる巻き毛がなぜだか鬱陶しくて、手で後ろに払う。緑色の窓枠に腰かける。
部屋に残る使い魔のにおいにイヤイヤするように首を振って、窓の外に視線を逸らす。

彼女は笑っていた。
涼しい春風が吹き込んで、マミの上気した頬を冷やした。
ぶわっと舞い上がる前髪を押さえながら、あくまで窓の外を見ながら、マミは口を開いた。

マミ「――鹿目さん」

まどか「はい……」

マミ「……彼女、なにか言ってた?」

まどかが立ちあがっていた。その肩にはキュゥべえがおとなしく乗っていた。
穏やかな空気が流れる。ここは春で、解放されているのだった。
その陽光の中の横顔を見つめているうちに、まどかの浮かない顔がにわかに晴れていった。

まどかはマミのためだけを思って毎日見舞いにやってきていたわけではない。
私だけがマミさんのことを気遣ってあげられるんだ、という驕りがいつしか芽生えていた。
驕りは徐々に弱ったまどかの心に巣食い、その果てはマミへの独占欲へと至っていた。

しかしいま、二人は春の涼風に吹かれながら、通じあえていた。
まどかには、マミの気持ちが分かった。もう許されているのだと。むしろ自分の方が受け入れられているのだと。
依存などしていない。救ってあげるのでもない。救い合っているのだと。まどかはこう答えた。

まどか「――大したことじゃなかったです」


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