過去ログ - 黒猫「まったく、とんだクソゲーだわ」
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◆49H2QUBi7VEi
[sage]
2011/04/04(月) 23:35:52.92 ID:NDtyDp/no
「ありがとう」
「礼はいいから、これ飲みきるの手伝ってくれ。一人じゃさすがに多い」
「ふふ、わかったわ」
「おー、ようやく笑ったか」
「え……あ……」
「『何があったのかは知らん』が、いきなり泣くのは勘弁してくれ。心臓に悪い」
嘘だ。
さっきの部長は驚いたように見えなかった。
それどころか質問をする前にはもう全部わかっていた気さえする。
それでも部長は『何も知らない』ことにしてくれた。
いまはその好意に甘えておこう。
「あつっ!」
一息つくためのコーヒーは私にはまだ熱すぎた。
「ふ〜っ……ふ〜っ」
「大変貴重な五更のふーふーシーン」
「黙りなさい、呪うわよ」
「おお、怖い怖い」
そういって部長は2杯目のコーヒーを注いだ。
「……ああいうシーンでは」
「うん?」
「あなたのことだから、ふたりっきりで女の子が泣くシーンなら、胸を貸すのかと思っていたわ」
自分でいうのもなんだが、いかにもエロゲーにありそうなシーンだ。
もっともその場合、私は『中古』といわれるのだろうけれど。
「ん〜……それは『相手が主人公なら』の話だろ。俺じゃムリだ」
「……意外だわ」
「自分にできることと、できないことくらいは判断できるさ」
「……そう」
少しの沈黙。
コーヒーを飲んで間をつなぐ。
いやな沈黙じゃない。
むしろ次の言葉を考えるのにちょうどいい、ありがたい沈黙。
もっとも、次に言うことなんてお礼しかないのだけれど。
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