過去ログ - 暁美ほむら「最後に残った道しるべ」
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39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga]
2011/04/08(金) 23:15:13.31 ID:4+5uQgBh0
15−2.1
月のない闇が降りる、見滝原の町の夜空。
そのビルの建ち並ぶ夜の街明かりを、工場施設のクレーンの上に座って見下ろしている、
孵卵器の姿があった。
これからこの街にやってくる運命のことを思いながら。
この街の魔法少女の運命のことを思いながら。
それらの事柄は孵卵器を通じて大概宇宙のことに繋がる。
夜の闇と、高層ビルの無数の明かりは、白黒のコントラストの世界のようだ。
「さあ、はじまるよ。」
孵卵器はわくわくしてるようにいい始めた。だが、その身の回りには誰もいない。
クレーンの高台に吹き付ける、夜の冷たい風の強さが音で伝わってくるだけだ。
「暁美ほむら。なるほど君はこの時間軸の人間じゃない。
この街にワルプルギスの夜がやってくるという君の統計もうなづける。」
孵卵器の赤い眼球に見滝原の街が映る。
その四足の獣の愛らしい姿とは裏腹に、孵卵器の意図は邪悪だ。
「だから君にはわかるわけだ。」
孵卵器の背が少しのびて。
何かを蓄えたようにふくらんだ、ふっくらした白い尻尾が夜の空───宇宙にむかって
ピンとのびると。
「ボクが今回、この街を選んだってこともね。」
その背に印された卵の象徴が発光すると、次の瞬間に黒い何かがそこから噴出された。
黒い何かは尻尾の指し示す宇宙にむかって放たれてゆき、夜の闇になじんでは
染まっていく。
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