19: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/04/09(土) 20:43:35.81 ID:y4wKISZKo
「夢じゃないわ」
まどかのわずかばかりの希望を打ち砕くように冷たく響く暁美ほむらの声。
「夢じゃ、ない?」
「ええ、たしかに魔女の結界の中で巴マミの腕はなくなった。でも、彼女は魔力でその肉体を再生させたの。
彼女が今、意識がないのは、魔女との戦いで魔力を消費した上に、更に肉体再生をやってしまったからね」
「そんな……」
「あなたたちもわかったでしょう?」
「え?」
「魔法少女は、“普通の人間”ではないの。普通の人間でありたいのならば、キュウべえと契約して
魔法少女になろう、なんて思わないことね」
「あ、そういえばキュウべえはどこに行ったんだ?」そう言ってさやかは周囲を見回した。
しかしキュウべえらしき白い生物は見当たらない。
「さっきまで一緒にいたのに」
「んもう、なんだよ。肝心なときにいなくなって。それよりまどか」
「え?」
「マミさん運ぶの手伝って。丁度ここは病院だし」
「あ、そうか」
まどかはさやかと協力して、マミを外来病棟まで運ぶことにした。
しかし、ほむらはそれに付き合うこともなく、踵を返した。
「いいのか? ほむら」とイチローを声をかける。
「いいのよ」そう言ってほむらは歩きはじめた。
まどかは、そんなほむらの後ろ姿を見つめながら、寂しく感じるのだった。
「ほらまどか、行くよ」促すさやか。
「う、うん」
夕焼けの中で、ほむらとイチローの会話が微かに聞えた。
「ところで今日の夕食はなんだい?」
「明太子スパゲティーよ」
「……そうか」
「ごめんなさい、お買い物に行く暇がなくて」
「いや、気にしなくていいよ。そこは――」
それにしてもあの二人の関係は何なのだろうか。まどかはそんなことを考えながら、
マミを支えて歩いた。
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