過去ログ - らき☆すたSSスレ 〜ポリエステルより愛を込めて〜
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/20(水) 19:38:05.32 ID:TaLUFlyw0
*原作にない一部設定は捏造です。

非常の中の日常


 成実ゆいは、警察署で当直勤務をしていた。
 何か起きない限りは、特にやることもない。
 音量を抑えたテレビを漫然と眺めていた。ときおり入る地震速報のテロップには、もうすっかり慣れてしまった。
 同じく当直の後輩は、パソコンでお役所仕事的などうでもいい書類を作成していた。


 3月11日の大地震発生から1ヶ月以上が過ぎていた。


 埼玉県内の親類の無事は、3月11日中に確認できた。
 従妹のこなたは「本とフィギュアがめちゃくちゃになったよ」と嘆いていたが、怪我がなかったのは幸いだった。両親も妹もおじさんもみんな無事が確認できた。
 問題は、東北地方に単身赴任している夫のきよたかだった。なんとか連絡がついたのは二日後。無事だと分かったときは思わず泣きそうになった。
 夫は、被災した工場設備の復旧作業のためしばらくは帰ってこれないという。夫が勤めている工場が生産しているものは現地の復興には欠かせないもので、その復旧はなんとしても優先されなければならないことだった。
 ゆいは、すべてを放り出して現地に駆けつけたい思いをぐっと押さえ込み、「体には気をつけて」と言って電話を切った。
 私情を挟まず自分の持ち場で本分を尽くすのが公僕の務めだ。それをいまさら放棄するわけにはいかない。
 それ以来、こちらから連絡することはしていない。夫が日々の激務で疲れ果てていることは分かっているから。
 夫から電話がかかってきたときは、いつもどおりの成実ゆいとして日常と変わらない会話をかわした。「がんばって」とも「無理しないで」ともあえて言わない。


 地震発生直後は、信号機・標識等の損害状況の巡回点検、地震に伴って発生した交通事故の処理などで奔走した。
 その後は、東北地方に支援物資を運ぶ民間車両への「緊急輸送車両確認証明書」の発行手続や、輪番停電で信号機が停止した主要交差点の交通整理などで忙しかった(「無計画」停電のせいで翻弄されっぱなしだったが)。
 それらの仕事も今はもう落ち着いている。
 被災地への災害派遣は機動隊が中心で、交通課の警察官にはお呼びはかかっていない。
 「余震等に伴う不測の事態に備え非番の場合も自宅待機せよ」という命令はいまだに解除されてないが、仕事はルーティーンワーク中心の通常態勢に戻りつつある。




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