過去ログ - らき☆すたSSスレ 〜ポリエステルより愛を込めて〜
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[saga]
2011/04/20(水) 19:38:42.56 ID:TaLUFlyw0
後輩が作成した書類を回してきた。たいして中身も読まずにハンコを押して、課長席に置いておく。
「しかし、これって本気なんですかね?」
後輩が、ホチキス止めされた分厚い資料の束を掲げた。表紙には「部外秘」とスタンプが押されている。表題は「重大事態における県民の避難誘導について」。
中身はパラパラと読んだが、愉快な内容ではない。
最悪の場合には県民すべてを県外に避難させることとされており、その場合における埼玉県警の具体的な行動計画が記載されていた。その規模の避難誘導となれば、当然、交通課の警察官も総動員ということになる。
避難の方向は西が想定されていた。となれば、「重大事態」の内容も見当がつくというものだ。埼玉県から北東方向を見れば、今回の震災ですっかり有名になってしまった原発がある。
「上の方は本気なんでしょ。じゃなきゃ、こんなもん配らないよ」
「杞憂ですんでほしいですけどね」
「誰か偉い人が言ってなかったっけ? 起きる可能性のあることはいつか必ず起きるって」
「マーフィーの法則ですね」
「そう、それ。そういうのは、交通事故だって原発事故だって変わんないよ」
違うのは頻度だけ。
あとは、どこまでを想定して、どこまで準備しているか。想定を超えた場合にも対応できるだけの余裕があるか。その違いでしかない。
突如、警察無線から音声が流れてきた。
「こちら、サイケンツウカン。サイケンツウ5、応答せよ」
ゆいは、無線を手に取って応答した。
「こちら、サイケンツウ5。サイケンツウカン、どうぞ」
「事故発生……」
事故発生の場所・時刻、判明している状況などが告げられた。人類滅亡のその瞬間でさえ決して変わらぬであろうと思わせる淡々とした声で。
「サイケンツウ5、了解。現地向かいます」
節電の影響かどうかは定かではないものの、交通事故件数は徐々に増え始めている。ほとんどが物損事故だが。
ゆいは、後輩とともにすばやくパトカーに乗り込み、サイレンを鳴らしながら、夜の闇の中へと消えていった。
終わり
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