10:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:33:38.10 ID:nYXsbXrS0
タンポポの綿毛のように繊細な人間をもてあそんだ、NERVの連中に怒り心頭
だったのも理由の一つだ。
最初のうちは葛城二佐たちが心配して様子を見に来てくれたが、一週間ほどで
それも無くなった。
いつしか社会に戻るきっかけも失い、出るに出られなくなった。
踏ん切りがつかなくなってしまったんだ。
そんな孤独の極地に立たされた僕の下に、たった一人だけ足しげく通ってくる妖怪がいた。
「どうせアンタは自分の人生にスネてるだけよ。黒髪の乙女がどうとか、そんなことで悩んでるんでしょ」
アスカは変態を見る目つきをした。
「組織も辞めてのんべんだらりとしてるだけのくせに。悩んでるふりしたって、構ってくれる人
なんていないわ」
アスカのくせに、言っている事はもっともだ。
しかしいざ外に出たとしても、NERVの奴隷として命がけの生活に舞い戻るだけなんだ。
あんな仕打ちはもう耐えられない。
確かに表面上は何もしていないように見えても、報われない思索に日々性を出して自分を追い込んでいる僕は、
日々激烈なストレスに晒されているんだと主張した。
「アンタ大脳新皮質にウジでも湧いたんじゃないの?それ、きっとただの恋煩いよ」
アスカは索漠としたことを言った。
「私知ってんのよ、アンタ、ファーストのこと好きなんでしょう?」
唐突に彼女の名前が出てきたので、僕はドキッとしてしまった。
「なんで綾波さんが出てくるんだよ?」
「またまた〜、とぼけちゃって。いつも目で追ってるじゃない。付き合うどころかアンナ事もしてみたいなんて考えているんでしょう。
まったく手のつけられない変態よねぇ」
アスカは弁護の余地のない卑猥な目つきをした。
「僕は変態じゃない!君みたいな奴と一緒にするな」
売り言葉に買い言葉だった。
要するに、アスカは僕を焚きつけて外に出そうと考えていたらしい。
しかし気が立っていた僕は、アスカの言うことにまともに取り合わなかったんだ。
○
心のどこかでどうせこんなことは夢なんだと、タカをくくっているところがあった。
しかし約三日が経っても、ドアの向こうも自分の部屋、窓の外も自分の部屋だ。
さすがにベッドに寝転んでいられなくなった。
チョコレートも底をつき、ビタミン剤も残すところ数粒となった。
できるだけ行動を起こさずに誇りを保つことだけに専念したかったけれど、
なけなしの誇りも死んでしまっては意味がない。
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