20:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:42:50.89 ID:nYXsbXrS0
ソーセージを食べる気にもならない。
どうせ同じ部屋に出るだけだ。
どうせ同じさ。
僕はただ胸の内でそう呟いていた。
○
僕が加持師匠の部屋に潜み、読書に耽っている間に何が起こっていたか。
アスカが妖怪のように暗躍していた。
彼女は手始めとして、<技術開発部>の赤木博士が出張で松城に出かけた隙をつき、
代理権限を行使して<技術開発部>の操業を停止した。
そんなことは初めてのことだったから、冬月司令は僕の件を放りだし、急きょ<技術開発部>へ
駆けつけた。
アスカは悪徳商人のように物欲しげな顔をして冬月司令の前に姿を現したんだ。
「NERVの運営で疑問があるの。どうやら謀反を企てている奴がいるらしいわ。
それで会議を開いてほしいのよ」
まさかアスカが全てを乗っ取ろうとしているとは、冬月司令は考えもしなかっただろう。
冬月司令と交渉する一方、アスカは着々と他の組織に根回しをしていた。
<戦術作戦部>時代の人脈を使って、引きこめるだけの人間は自分の陣営に引き込んだ。
引き込めなかった人間は、<保安部>を差し向けて会議の当日には自宅へ閉じ込めることにしたらしい。
恐るべき八面六臂ぶりだよ。
縦横に巡らされた陰謀の中へ、冬月司令は誘い込まれたんだ。
会議は開かれるなり終わった。
個人的怨恨から冬月司令が組織を私物化し、碇元指令を追い出したという恥ずかしい事実が暴露され、
満場一致で冬月司令は追放されることに決まった。
まだ唖然としている冬月司令が、<保安部>によって議場から放りだされた後、会議は静かに続いた。
「アスカ、あんたがやればいいんじゃない?どうせ形だけの司令なんだし、私は忙しいし」
<戦術作戦部>の葛城二佐が、アスカを推薦した。
「私には荷が重すぎるわよ」
アスカは一応、遠慮して見せた。
けっきょく、アスカが<技術開発部>室長及び、NERV総司令を兼ねることが決まった。
○
アスカがNERV総司令に就任した夜。
僕は一週間ぶりに隠れ家から出て、恐る恐るNERV構内へ入った。
夜陰に紛れてケージを抜け、会議場となっていた指令室へ入り込んだ僕は、そこでアスカのクーデターが成功し、
冬月副司令がいともやすやすと放りだされるのを見たんだ。
散会して職員たちがいなくなった。司令の机にアスカがぽつんと座っていた。
僕は指令室の隅に座ったまま、アスカの顔を眺めていた。
NERV総司令たるアスカは、その堂々たる肩書にふさわしい貫禄を微塵も感じさせず、
相変わらずぬらりひょんのごときヘンテコな顔をしていた。
「恐ろしい奴だなぁ」
僕はしみじみと言ったけれど、アスカは欠伸をした。
「こんなのはごっこ遊びよ」
彼女は言った。
「いずれにしても、これでアンタは助かった訳じゃない」
僕たちはNERVから抜け出して、屋台ラーメンを食べに行った。
もちろん、僕のおごりだった。
こうして僕は<NERV>から足を洗い、バラ色のスクールライフに向けて船出したはずだった。
しかし、不毛に過ぎた半年間の遅れをやすやすとは取り戻せない。
僕はコンフォート17にこもりがちになった。
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