過去ログ - アスカ「私なりの愛ってやつよ」
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24:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:45:44.16 ID:nYXsbXrS0
「言葉で説明するよりも、見てみる方が早いんじゃないかなぁ。ちょっとついて来て下さい」

 そう言って、彼女と一緒にユイさんのいる部屋へと歩いて行った。

 ○

 ラブドールのユイさんを紹介したところ、彼女はあっけにとられて見ていたが、やがて笑いだした。

「どうしたんです?」

「ウフフ、だって可笑しいんですもの。あの人ってばやっぱり可愛いわあ。」

 何を言っているんだろう、この人は。確かに自分とそっくりの人間がいれば可笑しいかもしれないが、
どっちかと言うと気味が悪いと思う。
 そう問うと、彼女はゆでダコのように顔を真っ赤にして目を伏せる。

「だって、嬉しくって……」
 モジモジしながらそんなことを呟いた。

 やがて落ち着いたのか、彼女は色々な事を説明してくれた。

「厳密に言えば、私は死んだわけじゃないの。あの日、ヱヴァの起動実験で事故を起こして
取り込まれてしまっただけ。」

「だからね、14歳を迎えたあなたに出会ったのは、今日が初めてじゃないの。いつだと思う?」

「まさか……」

「そう、あなたが第三新東京市に来たあの日。あの日からずっと、あなたの事を見ていたわ。大きくなったわね」

「そんな。でも、父さんが母さんは死んだって言った!」

「あの人なりの優しさだったのかもね。今の私は身体もないし、声も出せない。ヱヴァに縛られたまま。
今日あなたに逢えたのも、いろんな偶然が重なったからよ。こんな機会は、恐らく二度とないわ」

「じゃあ、どうして今日は逢えたの?無限に広がるこの世界ってなんなのさ?知ってるんでしょう?」

 彼女は申し訳なさそうに目を伏せた。

「実はね、私が作ったのよ、この世界」

 ○

 彼女は言った。

「あなたが今置かれている境遇に、とても強い不満を感じているのは分かっていたわ」

「あなたいつも言っていたわね。"出来る事ならこの街に来る前からやり直したい"って」

「だから私はヱヴァの力を使って、あなたに見せたのよ。他の選択肢を選んだあなたの人生を」

 彼女は哀愁を込めた目で僕を見て、問いかけてきた。

「それぞれの部屋のあなたを見て、どう思った?」

「どう思ったかだって?情けなくなったよ。ほかの僕にも人生が楽しくなるきっかけが沢山あった。
それなのに、そのきっかけを掴むことなく言い訳をして生きていく奴ばっかりだったんだ。」

「ねえ、母さん。どんな境遇だろうと、もう文句なんて言わないよ。結局僕は、人との関わりに
臆病になっていただけなんだ。これからは、もっとうまくやれる気がする」

 彼女は頷き、優しい目をして僕を見た。


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