23:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:45:12.82 ID:nYXsbXrS0
その人物をはっきり認識した瞬間、心臓が止まりかけた。
何か言おうとしても、ぱくぱくと魚のように口が動くだけで、声が出てこない。
僕は何とか最初の一言を絞り出した。
「ユイさん?」
○
僕のイスに座っていたのは、紛う事無きユイさんだった。
父さんが愛情を注ぎ過ぎた結果、魂を持って動き出したのかと思った。
しかしひとつだけ、大きく違っている点がある。
生きて、喋っているという事だ。
彼女は僕を見てニコニコと微笑んでいた。
しかし、呼びかけた瞬間あからさまに不機嫌になってしまった。
「なあに?実の母親に向かって、ずいぶん他人行儀じゃない」
ほっぺたを膨らましながら、ムスっと答える。年齢に似合わぬ可愛らしい仕草だった。
「え、え、母親?何を言ってるんです?」
僕は訳が分からず、目を白黒するばかりだった。
ユイさん、もとい母親と名乗る女性は、目をまん丸に見開き呆れ顔で僕を見た。
「あなた、ゲンドウさんから私の事聞いてなかったの?」
「そりゃ、聞いてますよ。数年前からあなたを愛でる様になったって。職員たちの噂になってたから」
「えっ?」
「えっ?」
「数年前って、どういう事?私が取り込まれたのって、10年以上前の事なんだけど」
何を言っているのか分からない。
僕の母さんは10年以上前に、ヱヴァの実験によって死んだと聞かされている。
父さんは写真を全部処分してしまったらしく、僕は母さんの顔を知らなかった。
そこへ突然、自分が母親だと名乗る女性が現れた。しかもラブドールと全く同じ顔をして。
「なんだか、話が食い違っているようね。本当に私が誰だかわからないの?」
「うーん、知ってるはずなんですけどね。知り合いというか、なんというか、
ある人と瓜二つなんです。名前も一緒だし」
それを聞いたユイさんは、眉を歪ませ思案顔で尋ねてきた。
「その人って、ゲンドウさんの知り合いなのかしら?」
僕は説明する事を放棄した。早くこのヘンテコな世界から脱出したいと思っているのに、
余計な問題が増えただけのような気がする。
父さんとユイさんの関係は、はっきり言って世間体の良いものではない。
目の前にいる女性の正体は分からないが、あのラブドールのある場所へ連れて行って、
彼女自身に判断させようと思った。
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