25:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:46:22.85 ID:nYXsbXrS0
「ちょっと荒療治だったわね。80日間も部屋をさ迷わせる事になっちゃったから。
でもあなたはきちんと気付いたわ。自分自身で殻を破った」
僕は母を誤解していたのかもしれない。こんなにも深い愛情に包まれたのは初めてだった。
○
僕たちは色々な話をした。
学校の事。アスカという悪友の事。葛城二佐にお世話になっている事。
父さんが相変わらずである事。
初めての母との会話は、とても楽しいものだった。でも、そんな楽しい時間にも終わりが来る。
「名残惜しいけど、そろそろ帰る時間よ」
「……」
「大丈夫、もう分かったでしょう。あなたは外の世界でも、ちゃんとやっていける。
私が現れたのは、その証拠よ」
「どういう事?」
僕が問うと、母はポケットからあるものを取りだした。
「私の役目はもう一つ。これをあなたに渡す事」
そう言って差し出されたのは、何の変哲もない黒ぶち眼鏡だった。いや、まてよ。
僕はこの眼鏡に見覚えがある。
恐る恐る眼鏡を受け取った僕の頭に、まるで走馬灯のように思い出が溢れた。
「綾波さんのだ」
僕は呟いた。
○
メガネ。綾波さん。約束。
越して来た夏。
青い正八面体をした使徒を殲滅すべく、徹夜の準備をしていた時だった。
僕はこの使途に一度殺されかけている。
死への恐怖におびえながらも、プラグスーツに着替えていた。
その時一緒に作戦に参加したのが綾波さんだった。
彼女は青い髪を涼しげに短くして、理知的な顔をしていた。
冷やかな目が印象的な、美人だと思った。
彼女は作戦の決行までの間、じっと座って空を眺めていた。
胸に、茶色い革製のケースを抱えている。
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