5:アスカ「私なりの愛ってやつよ」
2011/04/13(水) 23:27:46.81 ID:nYXsbXrS0
それは複数の下部組織をまとめる一つの漠然とした名称だった。
その下部組織たるや、名前と活動内容を聞いても、まるでマンガに出てくるような話ばかりだった。
主なものだけでも、
優秀な子供を軟禁状態にして強制的にパイロットとして使役させる、<戦術作戦部>
クローン技術もなんのその、人体実験も辞さないという極悪非道のモルモット宣言<技術開発部>
組織一のパシリ屋、神様も運んで差し上げるという<特殊監査部>
など多岐にわたる。
歴史的に見て「<NERV>の母体は<技術開発部>であった」というのが共通の見解だった。
したがって、<技術開発部>発足当時からの古株である碇司令と冬月副司令が、組織全体の
最高指揮権を持っているとされた。
いずれにせよ、<戦術作戦部>の下っ端パイロットとしてこき使われていたに過ぎない僕は、
父と接触することもままならなかったんだ。
父は元々僕を嵌めるつもりで、第三新東京市に呼び寄せたということさ。
赤木博士の命令で<戦術作戦部>に所属することになった僕は、
「とりあえず、この子と組みなさい」
と言われて、ケージで一人の少女を紹介された。
暗いケージを照らすたった一つの明かり。
その明かりの下に、ひどく縁起の悪そうな顔をした不気味な少女が立っていた。
繊細な僕だけが見ることができる地獄からの使者かと思った。
「アンタひどいこと言うわね。安心しなさい、私はアンタの味方だから」
それがアスカと僕とのファーストコンタクトであり、ワーストコンタクトでもあったんだ。
○
平凡な男がある朝目覚めると一匹の毒虫になっていたというのは、有名な小説の冒頭だ。
僕の場合、そこまで劇的ではなかったさ。
僕は相変わらず僕のままであったし、我が男汁を吸いこんできた自室にも、
一見何ら変わったところは無かった。
僕自身が毒虫ならぬ、ウジ虫だという最低の見識を、アスカという女は平然と言ってのけた。
しかし、それは例外すぎる例外だ。
読者の皆さんは、お願いだから僕をそんな目では見ないでほしい。
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