26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/04/22(金) 14:24:16.75 ID:Hio9flSSO
姫子の手に握られていた携帯電話が吹っ飛ぶ。
姫子「しまっ……!」
姫子がとっさに手を伸ばすが、その手は虚空を虚しく掴むだけだった。
大きく弧を描いたケータイが金網を飛び越えた。
姫子が膝から崩れ落ちる。
彼女の顔が絶望に曇った。
ややあって、遠くから地面になにかがたたきつけられる音がした。
唯「姫子ちゃん……」
唯は肩で息をしていた。
気を抜けば数秒もせずに気絶してしまいそうだった。
姫子「あーあ、どうやら私のケータイは壊れちゃったみたいだね。
ケータイが壊れたってことはさ。私、死ぬんだよ」
唯「死ぬって……どうやって……?」
姫子「さあ? そのまんまの意味なんじゃない?」
姫子が肩を竦める。
これから死ぬ人間とは、思えないほど彼女は飄々としていた。
不意に姫子が目を見開く。
唯「姫子ちゃ……」
唯の言葉は最後まで続かなかった。
姫子の腹部に穴が空いたからだ。
唯はぎょっとして、口許を抑える。
姫子「ふふふ、どうやらお別れみたいだね。
バイバイ、唯。ひどいことして……ごめんね……」
姫子は申し訳なさそうに顔を伏せる。
それでも彼女の唇が微笑んでいるのだけは見ることができた。
姫子「唯……殺そうとした私が言うのもなんだけど、生き残れるように頑張りなよ」
やがて腹部の風穴が渦を巻いて、姫子の全身を飲み込んだ。
あまりにもあっけなく立花姫子は消滅した。
消滅して死んだ。
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