過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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◆ySV3bQLdI.
[saga sage]
2011/04/22(金) 01:19:02.06 ID:Nr8ofJqko
季節外れのロングコートを着込んだ男は、朝の街を歩いていた。
初めて訪れる街に戸惑う様子もなく、その歩みは堂々たるもの。
朝露に濡れる公園を抜け、女子中学生の三人組とすれ違った直後。
夜明けから数時間、これまで一度も休まず動き続けた健脚が初めて止まった。
『おい鋼牙、今すれ違った学生なんだが……』
男――冴島鋼牙は、相棒の呼び掛けに立ち止まる。
渋く掠れた、やや癖のある壮年男性の美声。が、肉声ではない。
機械を通したかのように、くぐもった声だ。
しかし鋼牙は一人である。周囲には誰の姿もない。
声は、鋼牙の左手中指に嵌められた髑髏の指輪からだった。
「どうした、ザルバ」
《魔導輪・ザルバ》。それが、この指輪に付けられた名前である。
人知れず使命に臨む鋼牙をサポートする唯一無二の相棒、それがザルバだった。
『あのお嬢ちゃんたち、何かおかしい……。
力を感じる。ホラーとは似て非なる力……あれも魔力と言っていいのかどうか……』
銀色の髑髏、ザルバは発声に合わせてカタカタ顎を慣らした。
ザルバにしては珍しく歯切れの悪い答えに、鋼牙も眉をひそめる。
「誰だ? 全員か?」
『いいや、あの小さな赤いリボンの娘だ。とんでもないレベルの力を秘めてる。
それに比べると大分落ちるが、隣の青みがかった髪の女もだな』
「確かなのか?」
鋼牙は普段、彼の探知能力に全幅の信頼を置いている。
故に疑いの言葉を口にすることなど滅多にないのだが。
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