過去ログ - まどか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇
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581: ◆ySV3bQLdI.[saga]
2011/10/06(木) 02:39:26.85 ID:ISn5s9jjo
 
 これまでも充分に騒々しかったのだが、いよいよ周りの席が何事かとざわめきだす。
 だが、杏子にはどうでもよかった。今、目に映っているのは涼邑零のみ。
 ソウルジェムの秘密だとか、契約の実態だとか。そんなことは聞きたくない。
 聞きたい言葉は一つだけ。

 杏子は人差し指を突き付け、

「言ったはずだ! 今日からこの街はあたしの縄張りだ。
金輪際、魔女にも使い魔にも手を出すな! これが最後だからな!」

 強い調子で捲し立てる。この上なく身勝手で強引な脅迫と自覚しながらも顧みない。
 そもそも理詰めで挑もうとしたのが間違いだったのだ。最初から交渉の余地などなかった。
他人の事情なんて知ったことか、自分さえ良ければいい。それが自分の生き方だったはず。

 心のどこかで零が頷くことを期待していた。自分の事情を汲んでくれるかも、と。
しかし、頷くはずがないとも思っていた。彼の飄々とした態度の内には揺るぎないものがあるように感じたから。
 そして予感した通り、零は変わらぬ無邪気さで杏子を仰ぎ、

「あれ? 俺も言わなかったっけ? 俺は俺の好きにやるって」

 さらりと突き放した。
 予想していたとはいえ、若干のショックは隠せない。まさか、ここまであっさりと断るとは。
 動揺は態度にも表れる。

「テ、テメーが言ったんだろうが! ソウルジェムが浄化できなきゃヤバイって、あたしを脅かしておきながら――」
「おいおい」

 初めて、零が話を遮った。駄々をこねる子供に呆れるような苦笑で。
 ただ、眼だけは真摯に杏子を見据えていた。
  



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