62:87[saga]
2011/06/26(日) 12:04:04.03 ID:8KcjYazA0
ドアを広げて頭を下げようとして……止まる。
垣根さんは窓の外を見ていたらしく、ゆっくりとこちらへ振り向いた。
「何してんだよ、寝坊か? 昨日お前が約束したよなー?」
いつものように意地悪な笑顔を浮かべていた。
けど、一つだけいつもと同じではなかった。
「か、垣根さん……その服」
「ああ、これか? 俺が入院してきたときに着ていた服らしくてな、これしかないから着てんだよ」
その外見はまるで、あのときの垣根さんのようだった。
あの、とても怖い第二位のような姿。
あの時の服装そのものだ。
「どうした、初春」
「え……。あ、あはははー。なんだかガラの悪いホストさんみたいですね」
「心配するな、自覚はある。でもこれしかねぇんだよ、仕方ねえだろ。それより、なに遅れて来てんだよ」
「ご、ごめんなさい!」
その優しい声音と笑顔に、ほっとした。
ここにいる垣根さんが、あのときの垣根さんじゃなかったからだ。
あんなことがあって、もしまた記憶が戻ったらと少しだけどびくびくしていた。
けれど、これにももうなれなきゃ……。
「ま、いいけど。ほら、俺んち行くぞ」
「あ、はい!」
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