過去ログ - さやか「きょうこ、きょーこ」
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769:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/07/03(日) 22:12:46.22 ID:2bNSmr0Yo
 勿論そんな不都合の種を、見逃すわけにはいかない。
 あらゆる接続方法を可能なかぎり試した。他の魔法少女を介しての手段も、やってみた。
 結果としては、全敗だった。

 何より不可解なのは、そのプロセスの穏やかさ。
 信号を発した瞬間、内から急なロックを掛かるわけでも、例の手紙を受け取ったときのようにフリーズコマンドを突っ込まれるわけでもなく。
 その感触は、奪われたとすら、殺されたとすら、言い難い。

 あまりに柔らかく、情報が死ぬ。
 分解されて、塵芥よりも細かにちぎれ、風に吹かれて跡形もなくなる。

(そうやって、忘れさせられる。己が何をやっていたかも、判らなくなる)

 インキュベーターの脳ですら、そうなのだ。
 なら巴マミや佐倉杏子では、死ぬまで気づく事はないだろう。
 彼女達は忘れている。
 見滝原中学校が爆発し、見通しの効かない瓦礫の内に閉じ込められながら、自分たちがテレパシーを使わなかった事を。

 思えば、なんと不自然な合流だったろう
 マミの行く先に、偶然その場に居合わせた杏子。その彼女に守られた仁美。

(しかもその先導をしていたのは、ボクだ。ボクは瓦礫の中を、迷わず歩いた。何の道しるべもない道を)

 結界に取り込まれ、錯乱の跡がありながらも、五体満足だったさやか。
 魔法少女と顔を合わせる事なく、行方をくらませたほむら。

(そのほむらの手を取った恭子と、狸寝入りをしていた恭子。おそらく、その存在に気づいては忘れさせられたのだ)

 キミはわりと息をするようにウソをつくね、と己は言った。
 真実だと受け取れば、それは真実なんだよ、と彼女は言った。

(……問題は今、どこまでが嘘なのか、だ)


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