795:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/08/14(日) 21:08:18.62 ID:bk19XHJXo
握りつぶすと、指に棘が刺さった。
そこまでだった。
杏子は身体を起こせない。胸の奥底で、何かが空回りしている。エネルギーは消え失せてしまった。
『杏子さんの力は本当にすごいよ』
すごくない。
『首から下の感覚が、手品のように消えてしまった』
消えてしまったのはアタシのほうだ。
『僕の魔法が、さやかに届かない』
届かなかったのは、アタシのほうだ。
悪魔は嘘を吐いていた。悪魔なのだから当然だ。捕らえたつもりになって、自分はバカみたいだ。
助けたかったのに。
消えてしまった。
届かなかった。
消えてしまった。
届かなかった。
消えてしまった。
届かなかった。
マミが絶叫している。何事かわめいているけれど、聞き取れない。
彼女の魔法は解けていた。年相応の少女の服は、泥まみれ。豊かな胸を抱えるようにしながら、走り去った。
おかしくなってしまったんだろう。自分もおかしくなってしまった。
「なら、死んじゃえばいいんだよ」
藤の木の花が笑う。
その房を、薔薇の樹がぶんなぐった。
こいつら何でケンカしてるんだろう。うっとうしい。そんなんだからダメなんだ。いけないんだぞ。親父に叱ってもらえ。
アタシは忙しいんだ。おなかすいたって妹が、袖を引っ張る。パパが泣いてる。ママが頭を撫でてくれる。
843Res/753.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。