過去ログ - さやか「きょうこ、きょーこ」
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833:すけこ☆マギカ[sage saga]
2011/11/06(日) 08:00:16.97 ID:p4laV2rSo
 佐倉杏子は、ふと、気温が上がったと感じた。
 ぬるく優しい空気。
 古い記憶を呼び起こす。

 枕元にビスケットがあった?
  それはきっとね、杏子が生き物達に優しくしたからだね

 お野菜も、畑で一生懸命生きていたんだよ。
  大事に食べてあげる事で、その生を認めてあげる事になるんだ

 ダメだよ杏子、ミミズだって生きているんだ。
  杏子だって身体が半分に切れちゃったら、痛いだろう?

 ────走馬燈だと、理性の残滓が声を上げた。

「……!」
「さぁさ、準備はよろしゅうございますよ。『月不見の花の姫君』……上条恭介に最も近いメアリ」

 ……身体が半分に切れちゃったら、痛いだろう?

 杏子の瞳は、少女を映した。
 もう、世界は歪曲していなかった。
 すぐそばに散らばるなにか、それは人間のパーツの形をしている。
 自分がちぎった上条恭子と。
 上条恭子がちぎった自分。

 杏子は、ちぎられていた。

 新たな少女の姿がある。
 今しがた己の腹から、皮も肉を突き破って現れた少女を、杏子の瞳は、映した。

 黒と白。チェッカー柄。
 魔女の正統なるコスチューム。マント一枚、羽織っただけの裸身。ツンと立った上向きの乳房。
 その髪は、短く切り揃えられている。少年のように。上条恭介のように。


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