過去ログ - フレンダ「結局、全部幻想だった、って訳よ」
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83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/06/03(金) 00:19:21.59 ID:OMcsj5e5o
 ■   □   ■


 それは通り魔だった。
 借金を背負い、どうにもならなくなった一人の男だった。
 そんな男がどうして通り魔になったのか想像は容易だ。
 つまるところ、嫉妬のようなものだったのだ。簡単にいえば逆恨みだったのだ。
 『何故自分はこんなにも苦しんでいるのに、ほかの奴はのうのうと幸福に生活しているのか――』
 不幸は不幸を呼ぶ。憎しみは連鎖する。
 彼は暫く前より、ばれないように少しずつ少しずつ人を襲っていた。
 死なさないように、苦しみを引き延ばすように。自らの苦しみを無理矢理に押し付けるかのように。

 後に本人の自白で判明したことだが。
 フレンダの味方をしてくれた先生を刺したのも、この人物だった。


 ――かくして、『幻想殺し』は不幸を呼び寄せた訳だ。


 その日から上条は幼稚園に出席しなくなった。
 いや出来なくなった、といったほうが正しい。
 当然だ。彼は刺された、斬られた。大人でも死ぬ人も少なくないのに、体の小さな子供にとってそれは致命傷になりえる。
 彼は病院での入院生活を余儀なくされた。

 フレンダは彼を見舞うことはできなかった。
 怖かったのだ。
 恐ろしかったのだ。
 不幸が、ではない。彼に責められることが。
 無論彼が彼女を責めるはずもない。寧ろ幼稚園児らしからぬ心遣いで『不幸に巻き込んでごめんなさい』と謝罪をすることだろう。

 それでも――
 フレンダ自身がきちんと反応できていればこんな事態が起こらなかったことに変わりはなく。
 故に彼女は不幸よりも何よりも、彼に見捨てられることを恐れた。
 同時に、上条に庇わせてしまった自らの不甲斐なさも責めた。


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