過去ログ - フレンダ「結局、全部幻想だった、って訳よ」
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971:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/30(水) 01:53:06.31 ID:QlOSdYbgo
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上条「はぁー……」

 放課後。
 上条は鞄をひっくり返し、転がり落ちてきたそれを見て溜息を吐く。

上条「今年はお情けが二つですか……とほほ」

 昨年までは、義理(クラス全員に配っていたもの)でももう少し貰っていたはずなのだが。
 一つは委員長でもないのにクラスのまとめ役となっている吹寄制理から、上条含む三馬鹿へ。
 中身は『飲めばたちまち脳が冷静に!? 某脳開発研究所公認、チョコドリンク!』であり、もう少し落ち着きを持て、とのこと。
 もう一つは年齢不詳の雲川芹亜先輩から。 先輩なのに年齢不詳とは如何に、だが事実その通りなのだから仕方がない。
 そしてその中身はというと、あの例の一口チョコレートの詰め合わせである。 沢山味があって嬉しいものは嬉しいが、バレンタインに貰うものとしては話は別だ。
 というよりは、彼は親友の二人と同じで量よりも質が欲しかったりしたのである。
 例えば、影で慕ってくれていた後輩キャラが勇気を出して告白してくる、とか。
 例えば、クラスの人気者の女子生徒が実は入学した時から自分の事が好きだった、とか。

上条「いやまぁそんなことないってわかってるんですけどねー」

 その幻想はいとも簡単にぶち殺される。 ないとはわかっていても、そんな理想を抱いてしまうのが男子高校生の性なのだ。
 いや、彼に限ってそれは違うのだが、互いに牽制しあっている為にそうなってしまうのが現状だ。
 そして彼は今も、放課後の誰もいなくなった教室に一人きりで佇んでいる。
 別に、一人を狙って告白しに来る女子がいると信じているわけではなく。 単純に疲れたというただそれだけの理由だ。

上条「……そろそろ、帰りますかね」

 もはや時刻は四時をとっくに過ぎている。
 沈む夕日は朱く、部活動者以外はもう校内にはいないだろう。
 そう思い、机の横に置いておいた鞄を拾い上げ、席を立つ。


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