過去ログ - ほむら「ごめんなさい,マミさん」
↓ 1- 覧 板 20
1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)
2011/05/31(火) 00:09:09.79 ID:T7zCsBzF0
3話マミさん死亡後のほむら一人称視点独白SSです。シリアス,ほむマミ,短編です。
初めてSS書くので変なところも多いかと思いますが楽しんでもらえたら。
■■■■■■
陽が落ちる。見滝原はまだ若い街だ。鈍くきらめくビルが,道路が,工場が,強烈な西日を散らして,
街は鮮やかな茜色に染まる。
金糸に血をかけたような色。あの人がいなくなるのは,いつもこんな日。
私は林立する高層マンションのひとつを選び,非常階段を登る。35階の踊り場で足を止め,向かいのマン
ションを見やる。数百並んだ茜色のドア,そのひとつがそっと開き,髪を二つ結びにした少女が現れる。
少女はうつむいたままドアを閉めると,逃げ出すようにして小走りで去って行った。
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)
2011/05/31(火) 00:10:58.14 ID:T7zCsBzF0
ひとつ深く息を吐いて,私は移動をはじめる。向かう先は,さっきまであの少女がいたマンションの一室。
ここからは空中回廊でつながっているけど,私は一度階段を降り,向かいのマンションにエントランスホー
ルから入り直す。なんとなく,それが礼儀な気がしたから。あの人ならきっとそう言うから。
魔法でエントランスのセキュリティを突破する。まるで遊園地の入園ゲートをくぐる時のように,期待に胸
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)
2011/05/31(火) 00:12:16.73 ID:T7zCsBzF0
ずっと秘密にしていること。はじめは,友江さんだと思っていた。学校は休んでばかりだったから,巴とい
う字を知らなかった。今でも,漢字は嫌い。私たちが口に出せるのは,ひらがなだけだから。私の心を掻き
むしるのは,巴マミっていう三つの文字じゃなくて,ともえまみっていう五つの音だから。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)
2011/05/31(火) 00:16:49.69 ID:T7zCsBzF0
リビングに入り,少し目を細める。ガラスのテーブルには数冊の紅茶の本と一冊のキャンパスノートが置かれ,
その脇にはティーセットが散乱していた。お気に入りのフォションの茶葉,それを計量する小さな木匙。可憐
な花柄で統一されたポットとカップとソーサー。少しだけ自慢げだった,ヴェネチアン・グラスのティースプ
ーン。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)
2011/05/31(火) 00:17:46.60 ID:T7zCsBzF0
ティーセットをまとめて,流しに持って行く。本を本棚に戻す。栞はそのままにしておいた。キッチンから
布巾を取り,ガラステーブルに点々とついた紅茶の飛沫を拭き取っていく。
ぽたり,ぽたりと新しい水滴がテーブルに落ちて,いつまで拭いても終わらない。自分が汚したものくらい
26Res/10.19 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。