486:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/28(木) 00:10:55.53 ID:TtiL6PxAO
時刻は午後四時。
10月中旬となると、この時刻で日差しは傾き始め、外は黄色い光で満たされる。
ディールから二日後のことだった。
街が黄昏に沈む中、八神はやては自宅のダイニングで、学校帰りの月村すずかと久しぶりにお茶を楽しんでいた。
「このケーキ美味しいなぁ」
すずかがお土産にと買ってきたフルーツタルトの爽やかな味わいを楽しみながら、はやては一息吐いた。
すずかは、自分と波長が合う唯一の同い年の友人だった。
穏やかで優しく、物腰柔らかな彼女と話している内は自然と心が安らぐ。はやてにとってもそれは至福の一時だ。
「駅前商店街の翠屋さんのケーキだよ。わたしの友達のご両親が開いてるお店なんだ。友達みんな大ファンなの」
「これだけ美味しいケーキやったら、そりゃファンにもなるわなー」
機会があれば、私も今度行ってみよう。
そう思わせられる程に、翠屋とやらのケーキは美味しかった。
ケーキに舌鼓を打ちながら、話はすずかの通う小学校、私立聖祥大学付属小学校の話に移り変わった。
「昨日もイタリアから留学生が来て、その子がすっごくいい子なんだよ」
「ほぇー、イタリアかぁ……」
イタリアと聞いて、ふとヨーロッパでの経済不信を思い出したが、今する話では無いと思い直して頭の中に浮かんだそれをすぐさま打ち消した。
「うん。金髪が綺麗な女の子でね、はやてちゃんとも気が合うと思うなぁ」
力説するすずか。
その様子が面白くて、はやては小さく笑った。
「すずかちゃんがそこまで言うんやから、ホントにええ子なんやろうな」
すずかも笑顔で頷く。
と、ふと視線を落として、表情に寂しげな色を浮かべた。
「……みんなにはやてちゃんのこと紹介したいんだけど……なかなかタイミングが合わないんだよね」
「みんな塾とかお稽古とかあるもんなー
せやけどまーあんまり気にせんでー」
あっけらかんとした声調ではやては言った。
―――私も私で金融街のことで色々あるしな
と、口には出さずに心の中で付け加える。
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