10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/06/05(日) 23:09:24.75 ID:Svq2uLgno
**********************************************
『こいつはあたしが倒すから。 あとのこと、よろしく』
『暁美さん、佐倉さん、早く逃げなさい。 こいつらは私が引き受けるわ』
『最後くらいはさ、誰かのために生きたいんだよ』
『 』
頭の中で声が響く。
どれも彼女達の最期の言葉、私がここに戻るために犠牲になった魔法少女達の遺言。
もう聞くことはないと、そう思っていたけれど、それはただの錯覚で。
世界はこんなにもあっけなく、迷宮に逆戻りしていた。
「っつ、いた……」
頭に鋭い痛みが走る。
動くこともままならないため、ベッドに体を横たえたままソウルジェムを輝かせる。
痛覚をある程度操作して、ようやく自由に体を動かせるようになった。
体の調子は、いつかとさほど変わらないのだが。
何しろこの時間軸に戻ってくるのも久し振りだったため、その違和感もさほど不思議なものではない。
それより私は、動かなければならない。
始点に戻ってまずやるべきことは、武器の調達。
だが、普通の武器による攻撃は、ワルプルギスの夜に通用しないことが証明されてしまったために、
何か別の手を考えなければならない。
考えなければならないが、少なくとも当面の魔女との戦いに武器は必要になる。
窓を開け放ち、夜の闇へと飛び出した。
風が全身へと吹き付ける。
この風を、彼女達もいまどこかで感じているのだろうか。
世界の改変がなかったことになったのだから、きっと正しく時は巻き戻されているはず。
彼女達のいない世界になんて、着地することはないはず。
そう信じる。
335Res/235.81 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。