51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:50:02.22 ID:goJOdKVm0
澪「嘘、だよな……?」
やっと出た声は、まるで蚊が鳴くかのようにか細く弱々しい。
私は全身全霊を込めて声を絞り出す。
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:52:30.32 ID:goJOdKVm0
律のいない学校は、やはりどこか味気ない。
もう律が登校しなくなってから随分経っていた。
一人での登下校、寂しい。
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:54:29.70 ID:goJOdKVm0
私たちが来ると一気に病室は賑やかになる。律も嬉しそうだ。
個人病室だし、やはり日中の静けさは凄いんだろうなあ。
ベッドサイドの窓から気持ちの良い風が吹き込んだ。
夏だというのに、少し冷たくて爽やかな風だ。
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:56:46.07 ID:goJOdKVm0
澪「お前、自分の膝の上に新しいスティック載せて何言ってるんだ」
律「え?あ、本当だ」
律の病気は予告通りどんどん進行していった。
55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/06/11(土) 23:57:38.94 ID:XLpHh2ZDO
あああああ…
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/11(土) 23:58:42.02 ID:goJOdKVm0
でもそのささやかな充実感も、終わるときというのはやって来る。
私たちは高校生活最後の文化祭を秋晴れの日に行った。
律はもう桜高の生徒ではないため出演は出来なかったが、一応私たちのライブは大成功で幕を閉じた。
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:00:46.60 ID:q45fnrXz0
しかし、幸せな日々とはそう長く続かないものだ。
文化祭を終えた辺りから、私たちの恐れていたことが始まってしまった。
最初は、梓だった。
梓が病室に入ってきた瞬間、律は首を傾けて言った。
58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:02:49.89 ID:q45fnrXz0
そう言われた瞬間、ムギはショックを受けた顔をした。
悲しさに顔を歪ませ、歯を食い縛っている。
紬「軽音部の琴吹紬よ。……分からない?」
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:04:17.60 ID:q45fnrXz0
急に、怖くなったんだ。忘れられるということが。
律の中にいる私が消える。楽しかったことも、悲しかったことも。
それはつまり、律にとって私は赤の他人となる、ということだ。
律に、律にとって私は存在しない人間となる。
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:06:41.55 ID:q45fnrXz0
律に忘れられた3人と共に病室を訪れる。
今日は律にぴったりな黄色い花束を持ってきた。
澪「律ー、入るぞー!」
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:08:09.09 ID:q45fnrXz0
律母「何言ってるの!?澪ちゃんよ、幼馴染みだったじゃない!」
律「え、分かんないよ。どうしたの、急に。何か怖いよ……」
泣きそうだった。でも律はもっと泣きそうだった。
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