63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)[sage]
2011/06/12(日) 00:12:33.29 ID:q45fnrXz0
それからの律の容態は日に日に悪くなっていった。
聡を忘れ、お父さんを忘れ、お母さんを忘れた。
そして同時に体の動かし方も忘れたようで、既に指先は動く気配を見せなかった。
律「あああ……うわあぁぁあぁぁぁぁああ!!!!」
絶望に混じった声が病室に響くのも珍しくなかった。
時々思い出す自分の身の回りの事と今のギャップが辛いのだろう。
頭痛も酷いらしいし、しょうがない。
上手くいかない物事に苛つくこともしょっちゅうだ。
そんなとき、私は必ず彼女の右手を自分の左手で握った。
そうすると律の癇癪は少し落ち着いてくれるから。
律「澪ぉ……みおー」
そして律が私のことを気まぐれに思い出して、名前を呼んでくれることも多々あった。
そのことに私は嬉しい反面、悲しみさえも覚えていた。
明日には、忘れられている。
そんな存在が私なのだから。
だからこそ、私は律の手を握ることをやめなかった。
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