過去ログ - 天子「どうせ私なんか、術もアニマもない、人間のクズなのよ!」
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5: ◆ABsCEpS5PQ[saga]
2011/06/13(月) 20:39:53.33 ID:tIjaTx+e0
親子は今まさに城門を出ようとしていた。


衣玖:
さあ、行きましょう


衣玖は天子に淡々と告げ、城に背を向け歩き出す。


パルスィ:
おかあさま〜

次男パルスィが衣玖の背中に向けて叫ぶ。
いつものように泣いているであろうパルスィに、いつものように振りかえることはできなかった。
そうすればもう踏み出せなくなってしまうかもしれないから。

天子の手を引いて城門を潜る。
その姿はこれから彼女達が歩む道を暗示しているかのようだった。


街人:
この出来損ない!


俯いて歩く天子に、容赦無く罵声が浴びせられる。
衣玖は動じずに前を向いて歩く。
天子はそんな母を見て、その真似をすることにした。
──堂々としなさい。
いつか聞いた母の言葉を思いだしたからだ。

──てんこ、あなたは次の国王なのよ。
続く言葉を思い出し、天子は再び視線を落としてしまう。
もう、そうじゃないんだ。
何もかも失ってしまった。
当然だったものさえ──アニマも、地位も、父も弟も妹も何もかも──失ってしまった。

そんな喪失感は天子の心に、そして今その表情に暗い陰を落とす。
自分よりほんの少し前を歩く母を見て、失ってしまったのは母も同じなのかと、天子は思った。
自分が、奪ったのかと。



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