過去ログ - 上条「学園都市? なんで俺がそんなところに?」
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30:第一章『交差する若者達』3-1/6[sage saga]
2011/06/18(土) 09:23:58.44 ID:cu4HEccu0


 とりあえず、昼食をおごってもらうことになった。
 まだざわざわと込み合う十三時過ぎのファミリーレストランに、上条と一方通行はいた。

 ちなみに、土御門は青髪ピアス野郎とどこかへ消えてしまった。
「男には、負けると分かっていても戦わなくちゃいけない時があるんだぜい」という言葉を残して。
 どうせロクでもない戦いだろうから、上条は『昼食代と病院代を出す』という一方通行の言葉に乗ることにした。
 上条としては、土御門の勝敗よりも、
「病院はいいよ、でもお勧めのファミレスとかあるなら連れてってくれ」
 と言った時に浮かべられた、一方通行の驚いたような顔の方が気になる。

 なれなれしすぎたのだろうか、という反省も忘却の彼方。

 混んだファミレスのざわめきにまぎれる程度の声で、上条は一方通行に質問をぶつけていく。

「俺に触れただけでなんか俺吹っ飛んだけど、あれがお前の力なのか? 一体どんな力なんだ? こうぎゅーんって後ろに引っ張られる感じだったんだけど、一体何したんだ?」

 上条と一方通行が座っているのは、店の奥にある、四人がけの席だ。
 なんでも一方通行の知り合い二人が来るらしく、上条と一方通行は肩を並べる形でオレンジジュースとコーヒーを飲んでいた。

「つゥかよォ」
「あーもしかして守秘義務とかあるのか、やっぱり。学園都市最強だし」
「どォいう思考回路したら、自分を吹っ飛ばした奴と仲良くお話しよォって気分になるんだよ……」

 呆れたような呟きに、上条は逆にきょとんとした表情を浮かべる。

「だって別に、アクセラレータはあそこまでするつもりはなかったんだろ?」

 強い力を持つ者が、その能力を持て余してしまう――それは当たり前のことだ。
 かつて神裂に腕相撲を挑んで右腕を折られたことがある。
 二年前の彼女との別れの日、感極まった彼女のハグを受け、肋骨四本と両腕の骨が折れたこともある。
 また、幼い頃に『先生』と呼んでいた人には、ノーバウンドで五十メートルばかり吹き飛ばされたことがある。あの時は本当に死ぬかと思った。
 その時に比べれば、さっきのことなど、たいしたことではない。
 それに、殺意満載な魔術師たちの攻撃に比べれば、かわいいものだ(痛いのは嫌だけど)。
 
 上条の答えに、一方通行は再び呆れたようなため息をつく。
 口の中だけでもごもごと「これだからこの手の馬鹿は始末に負えねェ……」と呟く一方通行は、その台詞の割に、上条から見てもまんざらでもなさそうだった。
 なんとなく空気が和んだその時だった。

「わーいなに飲んでるのってミサカはミサカはあなたに思いっきりダイブしてみるー!」

 平坦なのにどこか起伏のある少女の声とともに、一方通行の体が横に倒れる。
 十歳前後の少女だが、結構な勢いがついていたので、ひょろっこい一方通行の体は簡単に倒される。
 その際、一方通行は真横にいた上条にコーヒーカップの中身をぶちまけ、ついでに上条は自分の持っていたオレンジジュースをテーブルの上にぶちまけてしまった。

「コーヒー熱っ! あと俺のオレンジジュース! というか俺叫んでばっかだな!!」

「クソガキィ……! いきなり何しやがる!?」
 一方通行は、自身の腰に抱きついてくる少女を睨みつけるが、少女はまったくへこたれない。
「え? この子が待ち合わせの相手?」
 上条が素直に浮かべた疑問に、少女はピッと背筋を正した。




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