過去ログ - 一夏「なんでお前が?」
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984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga sage]
2012/10/11(木) 02:04:43.34 ID:mksfoAtL0

「藤吉とは一応親友と名乗ってもいいほど仲がいいよ。それと単一仕様能力の発現条件も、教科書に載ってるような嘘じゃなくて本当のところを知ってるよ」

「本当の、こと……」

それが、セシリアの知りたがっていた答え。
第二次移行の前に単一仕様能力を使えない訳、俺たちの機体の特別な理由。
俺は息をのんで次の言葉を待った。

「単一仕様能力は、操縦者の精神面に大きく影響を受けて形成されるんだ。それをコアは読み取り、進化し、特異な能力を開花させる。しかしそれを逆手に取り、操縦者の精神、コアの進化の予測を立てることで第二次移行後の特殊機構を設計し機体を制作する。そうすることで第一形態から単一仕様能力を使用可能だ。簡単な話だろ?」

ずらずらと並べられる無機質な言葉。
それを少し時間をかけて噛み砕いていく。
そうしてその言葉の意味を、大まかだが理解した時に、あることに気付く。
簡単な話だろ?
男はそう言った。確かに話自体は簡単だ。
だけど、実際にそれを行える人間がこの世界に何人いるんだろうか?

(『コアの進化を予測』なんて、コアを作り上げた篠ノ之博士か、それレベルで頭のいい奴くらいじゃねえのか? んで、そんな人間この世に存在するのか?)

自問自答の答えはNO、だ。
あそこまで到達できる人間がそうそういるはずがない。
そもそも、目の前の男が真実を語っている保証はないのだ、どこにも。

「まぁ、信じても、信じなくてもどちらでもいいんだ。これは本筋には関係のない余談みたいなものだから」

俺の顔に猜疑心が現れていたのか、男はそういってその話を打ち切った。
軽く微笑むその顔は、何を考えているのかは読み取れないが、やはり嘘を言っていたようには見えず、俺の頭はほのかに混乱で揺れる。
そうと知ってか知らずか男は話を変えてきた。

「君の話に戻そう。この世界で君は偶然をいくつも重ね、IISで織斑一夏の隣にいる。そしてそれは、十年前に想定されていた今の形とは大きく乖離しているということ」

「十年前に想定されていた形? ノストラダムスみたいなああいう予言でもあったわけ?」

感覚的に物を言ってみるが、それが違うということくらいはわかっている。
合いの手のようなものだ。
頭の中を冷静に戻す時間を作りたかっただけの。

「もちろん違うよ。もっと作為的な『想定』さ。マッチポンプ、出来レース、自作自演。とある天才が仕掛けた世界の大々的な操作、その操作の過程における想定」

「とある天才って…… 篠ノ之束博士っすか?」

「そうそう、彼女のことさ。彼女は何を考えてかは知らないが、世界の流れを自分の思い通りに操作しようとした。誰が傷つこうがおかまいなしな方法でね。そしてそれは見事成功した、ように見えた」



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