過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2
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(千葉県)
[saga]
2011/07/02(土) 00:32:53.87 ID:4jjVYGHho
靴越しに、骨ばった固い感触が通る。
最悪脚一本を駄目にするかもしれない賭けに、美琴は勝った。
再び倒れた一方通行の胸を、思い切り踏みつける。
「…………ぐっ……」
「……………………なんで」
苦しそうに呻く一方通行を、美琴はそれだけで人を射殺せそうな形相で睨みつける。
憤怒と、憎悪と、怨嗟と、厭悪と、恐怖と、殺意。
それらが全て入り混じった視線は、しかし一方通行のそれとは合わなかった。
「……なんで、あんたがここにいるんだ」
クローン人間として生まれた妹たちは、表面上は「いない」人間として扱われる。
戸籍もなく、未だ検体番号で呼ばれ、そしてリハビリのために学園都市の研究機関から離れることもできない。
そんな彼女たちを温かく迎え入れ、身守ってくれる冥土帰しの病院。
そのような場所に、この虐殺者が足を踏み入れていいはずがない。
「……ここは、あの子たちの大事な居場所なのよ」
妹たちの血で染まったその手で。足で。体で。
どんな顔をして、この場所に足を踏み入れているのか。
美琴には理解できないし、理解しようとも思わない。
「その居場所を、あんたはぶち壊しにしようっていうの?」
一方通行の赤い瞳が揺れた。
彼は何も答えない。
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