過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2
↓
1-
覧
板
20
22
:
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[saga]
2011/07/02(土) 00:39:07.43 ID:4jjVYGHho
切っ先は揺れる。
高速で振動する砂鉄の剣は、かすっただけで物を容易に切断する鋭さを持つ。
何も言わぬ一方通行の首筋まで、あと5cm。
たったそれだけが、果てしなく遠い。
これを振り下ろせば、一方通行は造作もなく死ぬだろう。
あるいは、反射され自分が真っ二つになるのかもしれない。
どちらにしろ、一つは命が失われる。
『テメェも私も同じ穴の狢、つまるところただのバケモノなんだよ』
『自分の持つ力をどう使うか、そこに人間とバケモノの境界線があるの』
麦野との会話が、脳内でリフレインする。
一方通行を殺せば、自分もヒトゴロシ。
つまりは、彼と同じ醜いバケモノに成り果てるということ。
一方通行を憎悪するものとして、彼と同じ存在にだけはなりたくないと思う。
だが、彼を殺してしまえば、妹たちに対する脅威は永久に消滅する。
自分の破滅と引き換えに、訪れるのは妹たちが怯えることなく静かに暮らして行ける世界。
切っ先は揺れ続ける。
美琴は職業軍人でも裏稼業の人間でもなく、本質としてはただの女子中学生に過ぎない。
人を殺す勇気なんて、持っていない。
一方で後顧の憂いとなり得る、目の前の男を見逃すことだってできない。
麦野に語ってみせた己の理想が、がらがらと音を立てて崩れて行く。
結局は自分だって、力の使い方を誤っているのだろう。
むしろ自覚も覚悟もなく振るおうとしているだけ、自分のほうがタチが悪い。
切っ先は大きく揺れる。
結局、美琴の心は弱くて。
殺したいほど憎んだ、10031人の妹を虐殺した男に対して。
断罪の刃を振り下ろすことが。
できなかった。
<<前のレス[*]
|
次のレス[#]>>
1002Res/744.69 KB
↑[8]
前[4]
次[6]
板[3]
1-[1]
l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。
過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2 -SS速報VIP http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1309533497/
VIPサービス増築中!
携帯うpろだ
|
隙間うpろだ
Powered By
VIPservice