過去ログ - さだのり「桜は散る、陽は沈む・・・そして、思い出はいつかは消える」
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672: ◆G2uuPnv9Q.[sage saga]
2012/05/22(火) 22:07:55.25 ID:pokQSIJs0
阿修羅「…俺には出来なかった、あの優しい人たちといることが」

「…優しい?お前、あの生温い兵士達を、そこの看守さんを優しい、と」

阿修羅「そうじゃないか、結局俺達は人間のクズだ」

「…興ざめだ、まだ守るためって信念を持って剣を納めたさだのりのほうがいいやぁ」

ゴロン、と転がった男は牢屋の天井を見上げながら下品に笑いだす

「人間のクズだと?俺が、お前が?まさかぁ、俺達はただ殺してるだけだ」

阿修羅「それがクズなんだ、だから俺はお前を殺さなきゃならない、この国にクズはいちゃいけないようだ」

「周りをクズにしちまえばいいだろぉ」

阿修羅「…そんなこと、出来ない」

「優しいねぇ、お前さんもやーっぱこの国の人間だ、根本に優しすぎる考えがある」

阿修羅「…」

「お前、なんでさだのりと一緒にいるんだ?友達か」

阿修羅「あいつは親の仇だ、だからいずれ俺が首を取る」

「親のためにねぇ、優しいねぇ」

阿修羅「…何が言いたい」

「なぁ、優しさってのはすぐ崩れる、理想も、幻想も、夢も、愛情も、友情も、そして平和も」

ジロリ、と男は横を見た

壁だ、石でできた不格好な壁しかそこにはない

それが、男の風景だ

「そんな優しさに浸ってるこの国もすぐに崩れる、崩れるのさ、俺達が一度杭を打てば、それだけでガラガラ崩れる、積み木のように」

「こ、こいつ…!!」

看守が今にも掴みかかりそうな勢いで牢屋へ飛びかかる

「…看守さん、そいつも憎悪だ、そいつが優しさを崩す感情だ」

「!」

「警告しとく、俺達はこれで負けたなんて思ってない、むしろ、負けたのはお前達だ」

上体だけを起こし、男は二人を交互に見つめながら

「こんな俺を生かしておいた、お前達の負けだ」


その瞬間だった

収容所の建物内にいても分かるほどの、大きな衝撃が響いたのだ




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