過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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133:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/17(日) 21:11:13.19 ID:3guX2yCAO
〜5〜

♪とぅるるるるるるるる♪

麦野「あっ、風呂湧いた。今準備するから、終わったらあんた先入って」

御坂「えっ、い、いいわよそんな私は後で!」

麦野「私、牛乳風呂派なのよね。後で片付けとかあるし、それに……」

御坂「それに?」

麦野「……なーんかまだゲロ匂ってる気がしてイヤなのよねー。だからさっさとしてくんない?」

御坂「(うっ……確かにそんな気もする……けどもう少し言い方ってもんがあるでしょデリカシーないわね!)」

麦野「ほれ。これ使っときなさい」ポイッ

御坂「え」

麦野「あとお前が着れそうな寝間着とか捜すからこのガウンでも巻いてて」バサッ

と、湯沸かし終了を知らせるメロディが流れると麦野がソファーから立ち上がり、御坂に茶色い買い物袋を投げ渡した。
女性用下着と歯ブラシ他etc.のお泊まりパックである。
美鈴とタクシー待ちの間ミネラルウォーターを買いに入ったコンビニで調達したらしい。

御坂「……ごめんっ!!ありがとう……!本当に……何から、何まで――」

麦野「――ふん」

鼻を鳴らすか鼻で笑うようにベッドで布団を鎖骨辺りまで覆い隠す御坂に一瞥を送ると麦野は冷蔵庫からムサシノ牛乳片手に部屋から出て行った。
一人取り残された部屋のテレビにはアッパーイーストサイドの学生らがしっちゃかめっちゃかの乱痴気騒ぎが繰り広げられており――
薄暗い部屋と相俟って、どうやら主人公の親友が恋人にふられたらしく、ヤケになって今まで毛嫌いしていた男と寝たシーンのようだった。

御坂「(……もしかしなくたって、本当に優しい人じゃない)」

思わず申し訳ない気持ちに御坂はやや沈んだ。ある種最もこの手合いの立ち振る舞いから遠い麦野からの気遣いである。
人間とは不思議なもので、善人が一回悪い事をすれば評価がガクンと下がる反面、悪人が一度良い事をすれば評価が上向くのである。
それもストレートにではなくやや変化球気味に放られた善意に、御坂はあわやミットで受け取るのを持て余したほどに。

御坂「(……私、もしかしてあの女の事誤解してたのかな?)」

もちろん誤解は誤解である。麦野は断じて善人ではないし善人と言うカテゴリーに入れられる事を何よりも嫌うのだから。


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