過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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149:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/17(日) 21:38:57.07 ID:3guX2yCAO
〜19〜

麦野がよいしょ、とリビングから踏み台代わりに椅子を浴室に運んで来た。
実家に住まっていた頃より腰掛けていた長い背凭れと足の高い椅子。
幾多の人間を見下ろし、脇に控えていた執事が存命だった頃のそれである。

麦野「まあ、夏からいっこうに成長の兆しが見えない身体見たって面白みもなんとも思わないわねえ?」クスクス

御坂「五月蠅いわね!」

もちろんそんな事など知る由もない御坂は両手で支え持つ青い炎を揺らめかせる薔薇のキャンドルに目を落としながら唇を尖らせる。
麦野も電球を片手に持ちながら滑らぬよう椅子に足をかけたのが見えた。
しかし暗い室内にあってその表情までは見えない。クスクスとせせら笑う声だけが響き渡る。

麦野「まああんたの後輩辺りにゃ骨付き肉放るようなシチュエーションなんだろうけどね。生憎と私はノーマルで、幸いにもテメエが大嫌いだ」カパッ

御坂「……そんなに私の事、嫌い?」

麦野「頭の天辺から足の爪先まで」

光量を和らげる遮光カバーを取り外し、麦野が口元を歪めて笑う。
牛乳風呂はぬるめが好みだが、御坂との関係性にぬるま湯のようなそれなど持ち込ませない。
超電磁組を含めた、女同士の和気藹々など反吐が出ると言外に言っているのだ。

御坂「――あんたっていつもそう。有刺鉄線バリバリに張り巡らせて、国境みたいに他人を立ち入らせないわね……」

麦野「テメエみたいに誰にでもオープンチャンネルなヤツばっかりだとか思い上がってるんじゃないわよ。近寄ったヤツは警告無しで銃殺。誰にでも甘い顔して仲良しこよしなんてもんは“テメエら”で共有するんだね」キュルキュル

御坂「……そんな生き方、狭くない?あんた、何かを寂しく思ったりする事ってないの?」

麦野「世間なんて自分含めた数十人の人間で出来てんだよ。私の世界はそれくらい狭くてちょうどいい……抜けねえなこれ、クソッ」グッ、グッ……グラッ

御坂「あっ、危ない!!」

麦野「あっ……」

その時、高い足が浴室の濡れたタイルにスリップし……
爪先立ちしていた麦野が電球を引き抜こうとしたその矢先――

バシャアアアアアン!




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