過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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150:作者 ◆K.en6VW1nc[saga]
2011/07/17(日) 21:39:35.52 ID:3guX2yCAO
〜20〜

御坂「きゃあっ!?」

麦野「……った……」

支えの揺らいだ椅子から転げ落ちるようにして麦野は猫足バスタブに身を投げてしまった。
同時にアロマキャンドルを取り落とすも御坂がその身体を抱き止めた。
しかしその衝撃で暗闇の中牛乳風呂の湯が飛沫を上げて舞い上がり……
ピチャン、ピチャンと飛び散った水滴が落ちる音を二人は聞いた。

御坂「………………」

麦野「……痛っ……」

御坂「――――――」

猫足バスタブの内側、迫り出した凹凸に強かに御坂が打ちつけられ、その上に麦野がのしかかるような押し倒すような体勢。
麦野は気づいていない。鼻先五センチメートルもない距離に御坂の顔がある事を。
そして御坂にはわかる。浴室の天窓より降り注ぐ月灯りが、逆光のように麦野を照らし出しているのを

御坂「(……すごい、息出来なかったよ今……)」

天窓より臨む月すら霞むほど美しい顔がすぐそこにあった。
着水の衝撃により湯船の中に立つ細波が寄せては返し、チャプチャプと御坂の肌と麦野の服を濡らす。
麦野の優美なウェーブの巻かれた栗色の髪が御坂の頬をくすぐり、痛みに呻く声が産毛まで震わせる。

御坂「(……この人、こんなに綺麗な顔してたんだ……)」

通常ならば決してありえない距離感。上条当麻しか知らない距離感。
薄暗闇の中にあってさえわかる美貌というものは、ある種反則のように御坂には思えた。
一瞬、身体を起き上がらせる事が頭から消えてしまうほどに。

麦野「……おい、大丈夫?」

御坂「えっ、ええ!?えっえっえっえええええ!ええ!大丈夫大丈夫大丈夫!!全然大丈夫よ!!」

麦野「?……そう。ならいいけど……あークソッ、本当になんて日なのよ今日は……」

ザパッ、と濡らした服ごと麦野が覆い被さっていた御坂から身体を離す。
給湯温度より低い身体が離れて行く時、御坂は湯冷めにも似た感覚に襲われた。
麦野はそれどころではなく、どこかに行ってしまったキャンドルと電球を手探りで捜すも――結局、見つからなかった。

御坂「(ど、どうしよう……今私、スゴいドキドキしてる)」

夫婦は顔が似てくるというが、麦野のそれは上条の不幸体質とフラグを立てる能力が乗り移ったが如しである。

御坂「……んもおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」バシャーン!

麦野「!!?」

やり場のない叫びと湯を叩く音が、学園都市の夜に木霊した―――


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