過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/08/14(日) 20:50:14.52 ID:0rnOj66AO
〜9〜
上条「今日はパスして来たから出来ねーけど……前にお前が言ってた石狩鍋つついたり、クリスマスに気持ち大きめのケーキ食ったり、ダラダラゴロゴロ寝正月したりさ」
麦野「……なんで全部私が太りそうな食い物イベントばっかなの?」
上条「幸せ太りさせてやれるくらい、上条さんはお前と一緒にいたいんですよ」
上条の肩口に頭を乗せながら麦野はその言葉に耳を傾ける。
全てがバーチャルシミュレーションのこの幻想の世界で、ただ一つの現実(リアル)に身を委ねて。
麦野「――私は、ここ(あんたのそば)にいていいの?」
上条「いいに決まってんだろ」
麦野「――私は、ここ(このせかい)にいていいの?」
上条「誰かがダメだって言っても」
麦野「――私は、ここ(いっしょに)にいてもいいの?」
上条「お前がダメだって言ってもだ」
麦野「……――わかったわよ」
いじけて不貞寝した猫のように背けた横顔、その頬に触れ髪を撫でる手に麦野は目を細め力を抜く。
上条も自分も今、インデックスにさえ見せられない素顔(よわさ)を持ち寄っている。
常ならば麦野はもっとギスギスドロドロとしているし、上条はもっと平々凡々としている。
誰も知らない、誰にも言えない、二人だけの秘密。
麦野「――その代わり、約束して」
上条「何をだ?」
麦野「この学園都市で……私を除いた229万9999人の人間の誰よりも私を愛して」
上条「………………」
麦野「私以外の女に、私が爪立てるその背中を預けないで。あんたは私のものよ当麻。あんたの苦しみも含めて全部を私にちょうだい」
麦野の女としての本質。狂的な執着心と、病的な独占欲。
異常なまでの愛情と過剰なまでの恋情。だが歪んでいるからこそそれは強い。
恐らくは御坂がどんなに年嵩を経て紆余曲折を迎えようとも決して辿り着けない――
恐らくは愛情という美しく綺麗な名前さえ当てはまらないもの。
麦野「――あんたが選んだ私の最初の男で、私を最後の女にして」
呪いのような愛情、ガン細胞のように無限増殖するそれ。
は息絶え死が二人を分かつその日まで麦野は上条を手放さない。
麦野「――――好きだよ、当麻」
寒さが増すほど凍てつき密度を高める雪のように。
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