過去ログ - 番外・とある星座の偽善使い(フォックスワード)
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◆K.en6VW1nc
[saga]
2011/08/14(日) 20:50:41.91 ID:0rnOj66AO
〜10〜
このアトラクションの中は、どうやら人の心を映し出す魔法の鏡みたいだけど――
私の心はこんなに綺麗なんかじゃない。御伽の国も魔法の世界も、みんなみんなバーチャルで作られた幻想だ。
私の中のグロデスクな部分やサイケデリックな箇所は悉くカットされてる。
でも今だけは偽物で良いから綺麗なお姫様でいたい。
係員『アトラクション終了まで後三分となります。来場者の方は……』
上条「――そろそろ、終わりみてえだな」
麦野「そうね。もうおしまい」
一足先に降らせる雪のイメージ。それを私達は見上げてる。
今年こいつと見る雪はきっと二重の意味で特別なんだろうね。
今年初めてのそれ、人生で初めて誰かと見つめるそれ。
上条「絶対、またここに来ような。沈利」
麦野「二人で?三人で?」
上条「両方で、って事でさ」
灰のような雪だと私は思った。さっきプレゼントしてもらったガラスの靴のイメージか――
はたまた私の中の幼い子供の部分が望んだシンデレラ・コンプレックスの裏返しなのかも知れない。
こいつと行く茨の道は、ガラスの靴なんかじゃ渡りきれないってわかってるのに。
麦野「――ねえ当麻?」
上条「ん?」
麦野「雪ついちゃった」
キョトンとした顔でポカンと口を開けるアホ面の私の王子様。
雪よもっと降れ。灰よもっと積もれ。私の中のキッチュな部分の全部覆い隠すように、もっともっと勢い良く。
麦野「――溶かして?」
一片の雪の華が私の唇に落ちる。冷たい。それをあんたの熱で上書きして当麻。
お菓子の国に降る初雪、幻想と現実の境目さえ曖昧なこの場所で――
ほら、重なった。感じられる。伝わる。溶けて行く。私の中の冷え切った何かも雪と一緒に。
麦野「――……」
上条「?」
麦野「ありがとう」
舞い散る百万以上の一片の雪達。大地に還って花を芽吹かせるなり、川を下って海に渡るなりすればいい。
雪と灰はよく似てる。雪の結晶はダイヤモンドに似てる。
『灰とダイヤモンド』はそんなお話じゃないのにね。
だけど私はここでいい。けれど私はここがいい。私はこいつの体温に溶ける、ひとひらの雪でいい。
麦野「――とーまに、あえてよかった」
――私の世界を変えてくれた、あんたの側がいい――
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