57:LX[saga sage]
2011/07/23(土) 20:25:49.46 ID:GbkWnME40
Prrrrrr ! Prrrrr!
重く暗い空気を振り払うかのように、電話がけたたましく鳴り出した。
「来た来た来たわ!」
それまでのどよーんとした泥沼の世界にいた上条詩菜が、思いもかけない俊敏な動作で電話の子機を取り上げる。
「ハイ、もしもし? ……ハイハイ、わかったわ。こちらも少し持っていくわね、麻琴ちゃん、何かいるかしらね?
……そう、わかった。そうそう、あと、ちょっと面白いもの持っていくわ、楽しみにしててね? じゃあね」
ゴキゲンな調子で彼女は電話を切った。
「さぁさ、あなたたちも、一緒に行くわよ!? あなたたちが一緒に行けば、あの子たちも、佐天さんもびっくりよ!」
さっきまでの全暗黒土砂降り天気はどこへやら、夏の太陽ギンギラギンのどピーカン、というようなハイテンションで上条詩菜が
立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待って下さいな、お義母さま? あたしたちまではちょっと」
わたわたと美琴が手を振る。
「母さん、そりゃないだろ、メシ時に向こうに迷惑だろ?」
また始まったか、と当麻がまた深くため息をつく。
「あらあらなーに? あなたたち、あの子の親でしょ?
それともなにかしら、あなたたちは可愛い娘に会おうともせずに黙って帰ろうとしてるのかしら?
当麻さん、わたしはあなたをそんな情けない男に育てた覚えはありませんよ?」
すっくと立ち、ニッコリと笑みを浮かべた母の顔に、当麻は顔色を失った。
――― 不幸だ ―――
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