702:LX[sage saga]
2012/05/06(日) 22:48:32.58 ID:RpQV+FS/0
二人が緊張したのを感じ取ったのか、美琴は神妙な顔になる。
「やだ、そんなに緊張しないでよ、お父さん、お母さん……ごめんね。心配掛けちゃって。
……ちょっとね、辛かったから。誰にも話せなかったから……それにね、あそこ<学園都市>じゃとても話せなかったから」
「……」
「美琴ちゃん……?」
「ここなら、大丈夫だと思うから……それで、あのね、私には、『妹』がいるの」
「……」
「……」
二人は黙っている。
「あれ? 驚かないの?」
驚かない両親に、逆に美琴は驚いた。
「その子たちに会ったことはない。だが、話には聞いていた。わしは事の張本人にも聞いたことがあるのだ、お前そっくりの、『妹達<シスターズ>』のことを、な」
「あなた……」
いきなり核心をつく話が始まったことに、美鈴ははらはらしていた。
「そう、なんだ……そうか……二人とも知ってたんだ……」
「こちらから、お前に言う話ではないからな。それに、お前が知っていることなのかどうかもわからなかったから、とても言えるわけなかろう?」
「そうよね……言えないよね……じゃ、聞くけど、その子たち、全員で2万人いるの、ううん、『いた』のは知ってた?」
「!!」
「2万人!? ちょっと、それ、どういうことなの?」
さしもの二人もこれには驚いた。
桁が違いすぎる。まさに、桁違い。想像もつかないほどの数だった。
世界各国で得たアングラ情報。それは、娘・美琴に似た女の子の情報。その中には、銃撃戦等の物騒な話も含まれている。
それらを総合すれば、到底一人二人では済まない数であることは、旅掛は覚悟していた。
だが、娘の話によれば、その数は2万だという。恐るべき数字であった。この地区の総人口が3万人なのだ。その2/3に相当する数。
よもやそんなにいたとは思いもしなかった。
「だって、クローンだもの。あの子たちが自分自身をこう言っていたわ、『ミサカは単価18万円で、ボタン一つでいくらでも生産できる』って、ね。
『実験動物』だって、自分たちで言ってたのよ。信じられないけど」
「……」
あの野郎、と旅掛は唇をかむ。今はもういない相手を、彼を呪った。
よくも……なんてことを……。
「そんな、クローンだからって、人間を実験動物だなんて……なんてことを」
「それでね、半分はその通り、実験で殺されてしまった……。私は止めようとして、必死に闘ったわ。
非合法よ、もちろんね。でも、そんなこと気にしてなかった。そんなもの、くそくらえだった……。
でも、止められなかったの、壊しても、壊しても……。相手は学園都市そのものだったから」
驚くべき話を淡々と進める美琴。
黙ってその話を聞く、両親。
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