723:LX[sage saga]
2012/05/20(日) 20:04:20.80 ID:8Ks9kkwp0
「街のそっくりさん大集合!!」
とある女性誌の特集である。定期的に行われる、よくある他愛もない企画の一つであった。
その中に、「学園都市のスーパーアイドル、超電磁砲<レールガン>御坂美琴さんのそっくりさん」として、5人の女性が掲載された。
そのうち、2人が問題だった。
検体番号10039号と検体番号19090号の2人であったからだ。
そっくりなのは当たり前と言えば当たり前であるが、一般社会において彼女らの存在はあくまでも陰である。
二人とも化粧や髪型を変えているが、美琴と並べて載せられたら、「双子ですか?」というくらい誰が見てもうり二つである。
ネットの反応では、直ぐに「フォトショ乙」「コラ職人自重汁」「吊れますか?」という冷めたものが多かった。
しかし、そのうちに「4番のサカミさんって、エステXXの人?」「3番のミカサさんは隣の会社にいる人に似てる」と言う書き込みが出て、「本物なの?」という声が高まる。
そのうちに、電凸する猛者も現れ、スレが乱立した。
検体番号13577号が載らなかったのはもっけの幸いであったが、見ているひとはいるもので、「第7学区のXX病院にも似てる看護婦さんがいるけど、掛け持ちなのかな?」と言う話が出てしまい、こちらも「俺、会った」「わたしも」とこれもまた話題になった。
アングラ板・都市伝説板では、かつての「軍用クローン」のネタを覚えている人間がいた為か、久しく忘れられていたこの話が復活した。
だが、次の日には、これらの記事・スレッド・ツイートその他は1件残らず消えてしまっていた。
元ネタとなった女性誌は完売し、オークションでは高値で落札されることから出品が相次ぎ、不思議なことにいずれもが通常はあり得ない高価格で落札されるのだった。
雑誌が出た当日の午後には彼女らは早退してしまい、押しかけた物見高い連中は空振りに終わった。
また、検体番号13577号は夜勤にシフトされ、かつ受け持ちが長期療養患者担当に変更となった。
ちなみにこれはその後の話になるのだが、そのエステサロンと会社は閉店・廃業してしまったことから、いつしかこの話は新たな学園都市伝説の1つに追加されることとなる。
「こういうことがあるからねー、貴女に言っておいたんだけど……困ったものね」
ここは学園都市統括委員会・広報委員会のビルの一室。
嘆息とともにぼやくのは笠原真彩(かさはら まあや)。
その前に無言で座っているのは御坂美琴。
あの、今までの彼女の人生が変わるか、というほどの大騒ぎからおよそ2ヶ月。
彼女は学園都市に戻っていた。
美琴は当麻とはあれきり一度も会っていない。
会った方が良いんじゃないか、いや自分から会いに行くのはおかしい、と振り子のように心は揺れ動きながら。
そんな時に彼女はいきなり大学の仲間から雑誌を見せられ、驚愕する間もなく広報委員会から呼び出されたのだった。
「彼女たちも可愛そうだからね。私と違って、貴女も彼女たちも、みんな美人だから只でさえ目立つし、目をつけられやすいのよ。
化粧と髪型でごまかせるのも限度ってのがあるしね……どう、少しは考えてくれたのかしら?」
笠原女史が美琴を口説きにかかる。
「……わたし、学生ですし」
視線を合わせぬまま、とりつく島はありませんから、という答えをする美琴。
だが、笠原も負けてはいない。
「あら、別に中退でもよくてよ? 『中退』の方がハクが付くギョーカイだってあるくらいなんだから……。
この世の中、実力勝負だし、とりわけ貴女の場合、そんなの全然関係ないわよ?」
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