733:LX[saga sage]
2012/05/27(日) 19:27:58.75 ID:IGkAb8mz0
(バレた?)
その瞬間、彼女の頭に浮かんだのはそのことだったが。
「どうしたにゃ〜、そんな恐い顔して? あれ、もしかして俺のこと忘れちまったんかにゃ、それはちとショックだぜい」
頭をかきながらひょうひょうと彼は答えるが、直ぐに美琴にずいっと顔を寄せ、声を殺してささやく。
「超電磁砲<レールガン>、一度、カミやんと会ったほうがいい。突っ張りすぎると、元も子もなくなるぞ?
そしてもう一つ、お前が突っ張ったままだと、『あの子』に影響が及ぶ恐れがある。そんなことはお前も望んじゃいないだろう?」
――― あの子 ―――
その言葉に真っ青になった美琴は、鋭い目で彼を睨み付ける。
「アンタ、あの子に何を!?」
「大きな声を出すな。これはカミやんの友人としての御願いと、『警告』だ。どっちも内緒でな。カミやんと、お前が悲しむ姿は見たくないからな」
そこまで言うと、土御門は顔を上げて、
「それから、チェックもほどほどに、な?」 とニヤリと笑う。
美琴は言葉を失ったまま、茫然としている。
「じゃ、御坂ちゃん、カミやんに会ったらよろしくにゃ〜」
そう言うと彼はさっと走り去った。
「どこ行ってたんだよー、兄貴?」
尋ねるのは義妹の土御門舞夏。
「いや、なんか昔知ってた顔を見かけたと思って、あわてて戻ったんぜよ」
「へー。で、誰だったんだー?」
「あー、それがにゃー、中学の時のクラスメートだと思ったら全然違ったにゃー。他人のそら似だったぜよ」
まいったな、と言う顔で答える元春。
「なんだーそれ? こっちはいきなりいなくなるからびっくりしたんだぞー?
それで、兄貴、今日ここへ来たってのは、何をごちそうしてくれるんだー?」
「スマン、まだ考えてなかったにゃー、舞夏、うまい店知ってたら頼むにゃ」
二人は他愛もないことを言い合いながら人混みの中に消えていく。
PCパッドを握りしめた美琴は、バンが走り去ったことにも気が付かぬまま、一人立ちつくしていた。
1002Res/1293.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。