734:LX[saga sage]
2012/05/27(日) 19:31:12.26 ID:IGkAb8mz0
それからまた1週間ほどが過ぎた。
美琴は、土御門の「『あの子』に影響が及ぶ」と言う言葉に戦慄し、何故、彼が「御坂妹」検体番号10032号の事を知っているのかを探ろうとしていた。
だが、最後に言われた「チェックもほどほどに」という言葉が彼女の行動を邪魔していた。
そして、ある朝、彼女は久しく来ていなかった、当麻の寮の前にいた。
来てから既に小一時間が経過している。
入る勇気がなかった。自信がなかった。
彼の顔を見た瞬間、何を言い出すか、自分でもよくわからなかった。
「何しにきたの?」と言われたら、なんて言えば良いんだろう?
理由はいくらでもあった。
何故、学園都市外交委員会に入ることになったのか?
何故、それを私に黙っていたのか? ウソをついたのか?
雲川芹亜という「あの女」が外交委員会副委員長であることと、当麻が就職することになるサイエンティフィック・インターナショナル・トレーディング社代表取締役であることの関係は?
「あの子」の事を他の誰かに漏らしたことはないのか?
「あの子」が今どこにいるのか知っているか?
友人である「土御門元春」とはどういう男なのか?
それと、
……アンタは、まだ……私のこと……
そこまで考えて美琴はブルブルと頭を振る。
バカなことを考えるんじゃないの、美琴!
そんなことを聞く為に来たんじゃない!
活を入れる為に、美琴は自分の頬をパンパンと叩く。
……不思議そうな顔の女性と視線が合った。あわてて彼女はそこを走り去った。
更に1時間後の11時過ぎ、ようやく意を決した彼女は寮の管理人室にいた。
馴染みの管理人と話をしたところ、彼は今日は朝から東京へ外出してるよ、と言われたのだ。
何気なしに「珍しいですね」と美琴がかまを掛けると、「いや、最近何回か出てるよ? あれ、聞いてなかった?」という答えが返ってきた。
そこまで聞けば十分だった。
御礼もそこそこに、彼女は寮を出た。
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