829:LX[saga sage]
2012/08/19(日) 21:17:35.47 ID:4tGOQ92R0
「ふ……私が気持ちの良い散歩道に変えてみせるわよ」
不敵に笑う美琴を、土御門は難しい顔で見つめる。
「で、妹達<シスターズ>に、そう言うのか?」
「は? そんなことをあの子達に言ってどうするのよ? あの子達に余計な負担をかけるのはやめて。私はそんなことは望んでない。
私はね、あの子たちには、もう二度と悲惨な目にあってほしくないの……いいえ、絶対にさせない、させるもんですか」
「上条当麻を取られても、か?」
美琴の目がつり上がる。
「誰がそんなことを? あのバカが、アンタに?」
「まさか! カミやんは一言もそんなことは言ってない。これは信じてくれ」
美琴の剣幕に驚いた土御門は、即座に否定した。その様子から、当麻がしゃべったわけではなさそうだ、と美琴は見当を付けた。
「じゃぁ、どこからアンタ、そんな噂聞いたのよ?」
どこから情報が漏れたのか、ヒントが掴めるかも知れない、と美琴は土御門を攻めにかかる、が。
「噂は本当なのか?」
土御門は逆質問でかわしにかかる。
「ふん、言いたいヤツには言わせとけばいいのよ、そんなことは」
やっぱりダメだったか、と美琴は諦めた。この男が、学園都市の人間が、そんな簡単に情報ソースを明かす訳がないのだ、と。
「いや、すまなかった。余計なことを聞いてしまったようだ……。
さて、本題だ。妹達<シスターズ>を穏便にここから退去させるには、お前に一肌脱いでもらわねばならないが、それは理解してくれてるな?」
「当然でしょう? 何の為に、私がここに来たと思うの?」
「そうだな。愚問だったか」
「私はね、腹をくくったのよ。それだけのことよ」
「そうか。ならいい」
美琴が立ち上がると、土御門もそれに合わせて椅子から立ち上がる。
滑り止め効果の高い床材に椅子が引っかかり、ギギッという音を立てた。
「私が引き起こしたことだから、私がケリをつけるわ。それが一番無理のない方法だから」
「すまなかったな。話は終わりだ……彼女を戻してくれ!」
土御門がそう言った瞬間、冷たい微笑を浮かべた美琴は小さく言葉を続けた。
「たとえそれが、形だけでも、ね?」
美琴の姿は、会議室からふいに消えた。
テレポートされる直前に、彼女には(えっ?)と言う顔の土御門の顔が、一瞬だけ見えたような気がした。
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