過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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876:LX[saga sage]
2012/09/23(日) 21:38:57.99 ID:ZCbdZhPS0

そして日は変わって、今は正月、ここは御坂家である。

「新年あけましておめでとう御座います」

「しんねん、あけまして……おめでとう、ございます……?」

「ははは、びっくりしたかね? いや、まずは新年あけましておめでとう。今年も宜しく」

妊娠6ヶ月となった御坂妹はいつものマタニティ服で現れたのだが、御坂旅掛は紋付き袴、美鈴はこれまた松が描かれた正調の着物である。

「あの……」

目をぱちくりさせて、言葉の出ない彼女を二人は手招きして椅子に座らせた。

「麻美さんは、たぶん、日本の伝統を知らないだろうと思ったのでな、ならば一つ、わしらが日本の正月というものを見せてやろうと思ったまでさ」

「そうそう、知っておいてソンはないからねー」

ニコニコしている二人の前で、御坂妹こと御坂麻美は気まずそうに少し視線を落として小さい声で答えた。

「はい……有り難うございます。あまりに見慣れない服装でしたので、ちょっと驚いただけです。他意はありません」

「じゃ、それじゃ始めようか?」

旅掛が美鈴に合図した後、続けて麻美に席を移動することを促すと、彼女は恥ずかしそうに

「あの、私はこんな格好で宜しいのでしょうか? そう服は持っていませんが、もう少しフォーマルっぽいのがありますけど……」と言うと、

「ううん、気にしないで良いのよ? ここは貴女の家でもあるんだから。来年はきちんと出来るでしょうからね?

……あ、でも赤ちゃんの世話でそれどころじゃないかな、ふふふふ♪」

何やら楽しそうな美鈴が、取りなす。

「じゃ、美鈴、それに麻美さん、新年の儀式を始めるから、向こうへ行こう。大丈夫かね?」

旅掛が立ち上がり、麻美がそれに続き、後から美鈴が彼女の様子を注意しながら付いてゆく。

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御坂家、恒例の新年行事なるものを一通り済ませた後は、食事である。

美しく盛りつけられたおせち料理に、麻美は目を見張り、目に焼き付けておこうとでも思ったか、しばらくの間じっとそれを注視し、その後からは矢継ぎ早に美鈴にひとつひとつの料理に質問を浴びせかけ始めた。

最初のうちは何とか答えられていた美鈴であったが、あまりの質問の細かさに遂にギブアップした。

「ゴメンね、麻美ちゃん、これ、料亭のものだから。私にもよくわかんないのがあるのよー。アハハハ、ばれちゃった」

「そうなのですか? こんな沢山の種類をこれだけ少ない量に仕上げるのは、相当の手間暇とロスが生じたのではないか、と思っていたのですが」

「いやね、自分でも作るんだけど、こんなに手間掛けてられないからね、もっと少ない種類でその代わり量があるんだけどさ。

ま、麻美ちゃんの初めての正月だから派手に行こうって思ってたから、フンパツしちゃったのよ」

「そうだったのですか。有り難うございます。見ていると、食べるのがもったいないくらいです。こんな素晴らしい料理があるのですね」

「まぁ、プロだからねー。味付けもそうだけど、見栄えが素晴らしいわよね。美琴ちゃんがいた頃はゲコ太をかたどったカマボコとか作ってみたものよ……」

「それ、私も見てみたいです。今度、是非」

「へー、麻美ちゃんもゲコ太好きなの?」

「お姉様<オリジナル>ほどではありませんが」

「えー、オッホン! 二人ともおしゃべりはそこまでにして、そろそろおせちを頂こうではないかね?」

果てしなく続きそうな二人の女性のおしゃべりを、おあずけ状態で待たされていた旅掛が、申し訳なさそうな顔で断ち切ったのだった。



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