過去ログ - 新・学園都市第二世代物語
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895:LX[saga sage]
2012/10/08(月) 19:20:16.63 ID:vRcZk8Ww0

「止めて下さい、先生。私、怒ってませんから、頭を上げて下さい、困ります!」

美琴は恐縮しっぱなしで少しあわてている。麻美もこの光景には驚いた。彼が頭を下げるのを見たのはこれが初めてだったからだ。

「先生、そんなことより、今日の説明を?」

美琴はならば話題を変えようと試みる。

「ああ、そうだね。今日は……その、麻美君の出産に備えて、AIMコントローラーのデータ取りと、装着型AIMジャマーの試作品のチェックを御願いしたいんだね。

ああ、そういえば既に御坂君は長いこと協力をしてくれていたんだったね? いや、どうありがとう、と御礼を言わなければいけなかったね」

彼は穏やかな顔を美琴に向けてそう言うと、美琴も真面目な顔で、答え始めた。

「はい、ベッド据え付け型の試作には結構昔……2年近く前にいろいろと手伝わせて頂きました。

……今はもっぱら小型の装着型AIMジャマーの開発ですね。試作機のテストも2回……病院ではなく、製造メーカーでしたけど、2回とも全部ダメでまだものになってません」

美琴は真剣な顔で答え、隣の麻美を見る。

麻美の顔には不安の色が浮かび、ほほに緊張が走っている。右手はお腹を庇うように置かれていた。

「ああ、そう心配することはないよ? 出産時の能力の暴走を防止するAIMジャマーは最初の試作型投入からもう1年以上が経っている。

効率が高くなっているし、それなりに小型化されてデザインもずっと良くなったと聞いているからね。

実際、あのジャマーが出来て以来、出産時の能力の暴走による悲惨な事故は皆無だからね。もし不安なら、これから行く病院の新藤医師に聞いてみるといいよ。

彼は今やこの分野の第一人者だから、なんでも教えてくれるさ」

「先生はこの分野は不得手なのですか?」

麻美がズバッと聞くと、隣の美琴があわてて、バカ、なんて失礼なこと言うの? と怒った声で注意する。

「ははは、全然知らない訳ではないよ? このAIMジャマーの基本動作システムは僕の思想が入っているし、おっとまたしゃべりすぎるところだったね。

まぁ、産婦人科に関して言えば僕よりも専門的な人は多いのでね。そう、彼の方が僕よりよっぽど詳しいんだよ? だから僕は大人しく引っ込んでいることにしているんだよ」

そういうことで、いいかな? とカエル顔の医者はクーラーボックスからミネラルウォーターのボトルを取り出す。

「きみたちもどうかな?」とグラスを3つ取り出すが、女性二人は「有り難うございます、が、今は遠慮します」と手を伸ばさなかった。

そうかい? と冥土帰しはボトルを開け、水をグラスに注ぐが、ふと気づいたようにマイクボタンを押した。

「あとどれくらいかな?」

「そうですね、ちょっと混んでますので……推定では20分と出ました」

わずかの間をおいて、ドライバーから返事が来た。

「ありがとう……そうだ、『大地の森ホテル』は過ぎたかな?」

「すぐです。1分かかりません」

「ではちょっと寄ってくれるかな? 女性二人が化粧を直したいそうだ」

「わかりました」

「先生……」
「すみません」

美琴と麻美が恥ずかしそうに頭を下げる。

「いや、気が付かなくてすまなかったね。でも直ぐ寄れてよかったよ?」

リムジンはホテルのエントランスへ滑り込んだ。



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