931:LX[saga sage]
2012/12/02(日) 19:07:46.67 ID:fLg29DFl0
「で、お前自身どうするつもりだ?」
父・旅掛の問いに美琴が答える。
「一応、3つくらいの候補が来てるの。資格取る上でメリットある教育大の大学院が第一候補ってところ」
「お姉さまは先生になるのですか?」 目を見開いて訊ねる麻美。
「そうなれば常盤台学園が黙っていないわねぇ」 少し考えて母・美鈴がつぶやく。
「やっぱりそう思う?……そうなのよ。母さんね、どこからかぎつけたか知らないけど、昨日いきなり連絡が来たのにはびっくりしちゃった。
まだ自分でも決めてないのに、あそこ(常盤台学園)ったら大学院卒業したら是非来て欲しいって……面食らっちゃった」
ビンゴ、とばかりに母の方を向いてまくしたてる美琴に、まぁ落ち着け、とばかりに父・旅掛が皮肉っぽく言う。
「美琴が先生か。ははは、お前に教えられる子供たちも大変だろうな」
「お父さん、それ、どういう意味よ?」 むっとして美琴が言い返す。
「胸に手を当ててよっく考えて見なさい」
「お姉様、む「麻美、止めとけ」」 麻美が余計なツッコミをしそうになり、あわてて当麻が口を塞ぐ。
「当てなくても、わかってるわよ。私、先生には向いてないもの」 少し残念そうに美琴は答えた。
話が途切れ、一瞬沈黙の時が流れる。
「じゃ、私、次の予定あるから」
沈んだ空気を振り払うかのように、明るい笑顔を見せて美琴は別れの言葉を切り出した。
「身体に気をつけるのよ?」
「美琴、元気でな」
両親は寂しそうな顔で愛する「自分の娘」にしばしのお別れを告げる。
「ありがと。時間出来たら帰るから、またね。あんたもしっかり母親やんなさいよ?」
「はい。お姉様、有難う御座いました。お気を付けて」
今度は美琴は麻美の顔をしっかりと見、麻美も美琴の顔を見て答えた。
「じゃね、バイバイ」 小さく手を振る美琴。
御坂旅掛、美鈴夫妻、御坂麻美・一麻の母子4人が駐車場へと歩き出す。
「また、お世話になります……宜しく御願いします」
旅掛・美鈴夫妻に会釈して挨拶する麻美の声が小さく聞こえた。
ビッ、と軽くフォンを鳴らし旅掛が運転するBMWが二人の前をゆっくりと通り過ぎてゆく。
助手席で手を振る美鈴、後席で頭を下げる麻美、そしてベビーシートに収まった一麻が見えた。
美琴と当麻、二人は去りゆくテールランプを黙ったまま見つめていた。
そう、見えなくなるまで……
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