989:LX [saga sage]
2013/01/10(木) 21:29:55.26 ID:1IBHAIL60
ミサカネットワークから離れた私の頭で、あれやこれやと想像する。それはとても楽しい時間。
あのひとと私、二人だけの時間が持てる。
しかもお姉様<オリジナル>も了承済み。こそこそする必要もなく、堂々と。
外でお姉様<オリジナル>を演じている時は、あのひとを弄る事も出来てしまう。私だけの特権だ。ウソみたい!
それに、お家に帰ったら、私は本来のミサカに戻れる。ミサカが、このミサカがあのひとを独占出来る。
ああ、なんて素敵なんでしょう、なんて素晴らしいことでしょう。ホント、生きていて良かった。
ミサカ、とっても幸せ。もうなんでもしちゃう。あのひとが喜んでくれるのだったら、求められるままに何でもしてあげたい。
やだー、求められちゃったら……だって。恥ずかしい。何舞い上がってるんだろう、私。
……お姉様<オリジナル>は怖い顔してたけれど、でも何も言ってなかったよね……
ううん、私は「上条美琴」なんだから、あのひとが求めるんだったらちゃんと答えてあげなきゃダメよね? そうよ、そうだわ、そうなのよ!
あれやこれやと想像は妄想になり、妄想は妄想を呼び、私はその夜、殆ど寝る事が出来なかった。参ったなぁ……
翌日、私はお姉様<オリジナル>と一緒に家に帰った。
家のセイフティロックに私のデータを登録してもらった。これで私は自由に出入り出来るようになった。うう、緊張する。
お姉様<オリジナル>に家の中を案内してもらった。お世話になります。
あのひとに会えるかも、と思ってドキドキしてたけど、まだ帰ってきていなかった。すごく残念。
お姉様<オリジナル>の部屋は見せてもらえなかった。
空気の入れ換えは必要ですよね、と言うと、あのひとにやってもらうから大丈夫、と言われてしまった。
自分の部屋を「他人」に見られるのは確かにあまり気持ちよいものじゃないけど……貴女は他人、と言われたようで、なんか寂しい。
キッチン。
用具は揃っているけれど、自分の持ってきても良いわよ、とお姉様<オリジナル>が言う。
それはつまり、「わたしのものは使わないで頂戴」という意味だ。
ま、そうかもしれない。ここはお姉様<オリジナル>の「城」なのだから。
素直に「そうですね、持ってくる事にします」と言っておいた。私も使い慣れた自分のものがいいし。
冷蔵庫は「全部開けとくから、どう使ってもいいわよ」とお姉様<オリジナル>は言った。
中を見る事はなかったけれど、私も見たいとは思わなかった。見せたくない、見ちゃいけない場所の一つだから。
一通り、中を見終わった頃にあのひとが帰ってきた。言う事をあれだけ考えていたというのに、私の口からは言葉が出なかった。
来週からお世話になります、とだけなんとか挨拶すると、あのひとは驚き、口ごもった。その意味はあとで分かったのだけれど……
食事をごちそうになった私だけれど、緊張の余りさんざんにとっちらかってしまい、お二人に大量に笑いのタネを提供してしまった。
結局、夜も遅いので泊まっていくことになったのだけれど、私の部屋には何もない状態だったので、私は客間に寝る事になった。
夜更け。
ふと目を覚ました私は、どこからか猫の鳴き声? が聞こえてくるのに気が付いた。
起きあがって神経を耳に集中する。気のせいではない。明らかに声がする。人の声? それに、何かの音? もする。
そっとふすまを開けると奥の方から声がする。
耳を澄ますと……それは、お姉様<オリジナル>の嬌声だった。聞いているうちに私は恥ずかしくなり、再びふとんに潜り込んだ。
今思うに、あれは、お姉様<オリジナル>の、私に対するメッセージだったのだろう。
このオトコは、わたしのものだ、と。
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